道川省三「たづたづしー伝統の先に見えるものー」展

　SOKYO ATSUMIで、道川省三の個展「たづたづしー伝統の先に見えるものー」が開催されている。

　道川は1953年北海道生まれ。愛知県瀬戸市を拠点としながら、欧米、アジア圏など30ヵ国以上で個展やワークショップを開催している。作品はヴィクトリア・アンド・アルバート美術館（ロンドン）やウェールズ国立博物館（カーディフ）、茨城県陶芸美術館（茨城・笠間市）などに収蔵されており、世界的にも注目されている。

　道川の作品は轆轤の遠心力を駆使して生み出される螺旋状の力強いフォルムで知られており、土との対話を通して土に本来備わっている造形と真摯に向き合いながらも、実験的な方法で常に新しい制作に挑戦している。

　本展では41点の新作が展示され、道川らしい躍動感のある作品や静寂な佇まいの作品など、道川の魅力を多面的に堪能することできる展示となる。また谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を引用して構成された展覧会によって、薄暗い空間にぼんやりと浮かぶ道川の作品世界に触れるとともに、日本のアイデンティティーや美意識についての再考を喚起させるものとなりそうだ。