EXHIBITIONS

新・桃山の茶陶

2018.10.20 - 12.16

鼠志野茶碗 銘 山の端 美濃・施釉陶器 日本・桃山~江戸時代 17世紀 根津美術館蔵 重要文化財

織部松皮菱形手鉢 美濃 施釉陶器 日本・桃山~江戸時代 17世紀 北村美術館蔵 重要文化財

中之町出土資料 京都市蔵 京都市指定文化財

 「桃山の茶陶」とは、16~17世紀初頭につくられた「茶の湯に用いられる桃山様式のやきもの」。信楽、備前、伊賀の大胆な篦目(へらめ)と歪み、志野の白釉に浮かぶ力強い鉄絵、織部の多彩な形と爽快な釉薬の掛け分け、そして唐津の自由な文様表現は、唐物にはない和物茶陶ならではの魅力に溢れている。

 美濃の黄瀬戸・志野、朝鮮半島から渡来した陶工より始まった九州の唐津などの初期「桃山の茶陶」は、静かでありながら1点1点が個性を持ち合わせ、隆盛期に入ると、信楽や備前、志野、唐津などの意匠が大胆になり、器種も多様化。その生産量は爆発的に増加するが、その背景には京都三条の「瀬戸物屋町」の躍進が関与していると考えられている。

 根津美術館は、京都の三条弁慶石町で信楽や備前、志野などのやきものが大量に見つかった発掘調査を受け、1989年に「桃山の茶陶」展を開催。出士した陶片と同じタイプの伝世の茶道具を併置し、伝世品と出士資料の接点を探った画期的な内容だった。

 およそ30年後に開催される本展は、平成元年以降の新たな発見を加えて、桃山様式のやきものを再検証。伝世品と京都で出士した資料を通し、「生産」と「流通」という観点から最新の「桃山の茶陶」の世界に迫る。