EXHIBITIONS

酒呑童子絵巻

鬼退治のものがたり

2019.01.10 - 02.17

住吉弘尚 酒呑童子絵巻(部分) 8巻 絹本着色・紙本墨書 日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵

酒呑童子絵巻(部分) 1巻 紙本着色・墨書 日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵

 都の貴族の娘たちを次々に略奪しては食らう鬼「酒呑童子」。源頼光と藤原保昌および渡辺綱、坂田金時ら四天王が「酒呑童子」を退治する物語は、14世紀には成立していたと考えられている。その後、御伽草子として多くの絵巻物や奈良絵本に描かれ、代表的な鬼退治の物語として普及した。

 根津美術館は、16世紀以降の「酒呑童子絵巻」を3種類所蔵。16世紀に制作された『酒呑童子絵巻(1巻)』は、 御伽草子絵巻らしく、稚拙でユーモラスな表現がなされている。17世紀、伝狩野山楽筆の3巻本は、同系統の最古本である狩野元信の『酒伝童子絵巻』(サントリー美術館蔵)を踏襲しながらも随所に改変が見られ、元信本とはまた違った魅力を湛えている。そして19世紀の住吉派の絵師が描いた8巻本は、前半の4巻に酒呑童子の生い立ちの物語を加えているという他に類を見ない構成が特徴だ。

 本展では、住吉派の絵師による8巻本を全巻初公開し、その全貌を紹介。制作年代によって画風が変化する、館所蔵の絵巻の各々の違いにも注目する。