花代

　花代は、自身の日常を幻想的な色彩で切り取る写真やコラージュ、またこれらに音楽・立体表現を加えたインスタレーションや前衛的なパフォーマンスなど、領域横断的な制作を国内外で展開し、独自の表現を追求してきた。タカ・イシイギャラリーで3度目の個展となる本展では、8mmフィルムで象徴的にとらえた映像作品と、実験的な写真作品を展示する。

　8mmフィルムで撮影された3分弱の映像には、友人のもとに誕生したばかりの第一子、咀嚼する口やうごめく指、あるいは水面に乱反射する光などが、夢幻的な詩と音楽を背景に親密な視点で収められる。

　そして花代が子供時代に祖父の形見として譲り受けて以来長年愛用しているオリンパスのハーフサイズカメラで撮影した写真は、魅惑的な色のトーンとアナログの繊細なニュアンスに溢れ、露出過不足やブレ・ボケ、フィルムの傷みや現像ムラなど偶然の所産を取り込みながら、幻想的なイメージを形成。アナログ写真の粒子の美しさをより際立たせる実験的なプリントを実現した。