EXHIBITIONS
日野之彦「窓辺」
SNOW Contemporaryでは、日野之彦の個展「窓辺」を開催する。11月20日まで。
うつろに見開いた大きな瞳、半開きの口、幼児的なポーズ、白いブリーフを着ただけの裸体など。日野之彦は、言いようのない不安定な人物像を、技術に裏付けされた精緻な描写で描き出すことで、静謐な狂気を孕んだ濃密な絵画作品を制作してきた。
2020年の個展「モデル」では、長年のモチーフであった自らの身体から離れ、自分以外をモデルとして描いた作品群を発表。数メートル離れて全身を俯瞰し、接近して細部を観察するという、モデルと自身との距離から生じる見え方の違いを1枚のキャンバスに併存させた結果、人体の存在そのものに肉薄した世界観を見せ、高い評価を得た。
本展は前回に引き続き、モデルを描くという手法は踏襲しつつ、これまで室内灯のもとで描かれてきたモデルを自然光の入る「窓辺」へと移動させる。自然光の下にいるモデルを眼前に描き出すことは、モデル自身の日常生活における身体的変化に加え、季節や天候、時間により変わる光の具合など、日々変化する環境的な要素と絡み合うこととなる。
これまで日野は、身体をあえて歪ませることで絵画空間に違和感を生じさせてきた。しかし今回の新作では、モデルの身体的変化と変わりゆく自然環境という、それぞれに異なる時間軸を1枚のキャンバス内につなぎ合わせることで、重層的な歪みを絵画内に生じさせている。変化し続ける情報と異なる時間軸を統合させ、より重厚で複雑な画面となった日野の新作に注目してほしい。
うつろに見開いた大きな瞳、半開きの口、幼児的なポーズ、白いブリーフを着ただけの裸体など。日野之彦は、言いようのない不安定な人物像を、技術に裏付けされた精緻な描写で描き出すことで、静謐な狂気を孕んだ濃密な絵画作品を制作してきた。
2020年の個展「モデル」では、長年のモチーフであった自らの身体から離れ、自分以外をモデルとして描いた作品群を発表。数メートル離れて全身を俯瞰し、接近して細部を観察するという、モデルと自身との距離から生じる見え方の違いを1枚のキャンバスに併存させた結果、人体の存在そのものに肉薄した世界観を見せ、高い評価を得た。
本展は前回に引き続き、モデルを描くという手法は踏襲しつつ、これまで室内灯のもとで描かれてきたモデルを自然光の入る「窓辺」へと移動させる。自然光の下にいるモデルを眼前に描き出すことは、モデル自身の日常生活における身体的変化に加え、季節や天候、時間により変わる光の具合など、日々変化する環境的な要素と絡み合うこととなる。
これまで日野は、身体をあえて歪ませることで絵画空間に違和感を生じさせてきた。しかし今回の新作では、モデルの身体的変化と変わりゆく自然環境という、それぞれに異なる時間軸を1枚のキャンバス内につなぎ合わせることで、重層的な歪みを絵画内に生じさせている。変化し続ける情報と異なる時間軸を統合させ、より重厚で複雑な画面となった日野の新作に注目してほしい。