EXHIBITIONS

リアル(写実)のゆくえ

高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの

2017.09.23 - 11.05

長谷川潾二郎 猫 1966 宮城県美術館蔵

高橋 由一 鮭  制作年不詳 山形美術館寄託

長谷川潾二郎 猫 1966 宮城県美術館蔵

岸田劉生 野童女 1922 神奈川県立近代美術館寄託

  細密描写による写実が注目を集める近年。高橋由一をオマージュする現代画家たちが目立っている。

 「鮭」の絵で知られる日本洋画の先覚者、高橋は、江戸時代より徐々に到来した西洋画の迫真の写実表現に感動し、洋画家を目指した。以来、多くの画家たちが西洋由来の写実技法を学び、さまざまな作品が生み出されてきた。

 いっぽうで、はやくも明治中期には黒田清輝が外光派風の作品を発表し、その親しみやすさから写実絵画は穏健な叙情性が重んじられるとともに日本の官展アカデミズムの主流となった。以後、近代以降の日本の美術史は、外光派風写実と、それに反発する印象派以後の美術(モダニズム)の流れで語られていくこととなる。

 本展では、西洋から日本へ移入されてから150年を経た写実表現がどのように変化し、日本独自の写実が生まれたのかを高橋の写実を受け継ぎ展開させた岸田劉生や椿貞雄、次世代の長谷川潾二郎、現代の犬塚勉らの作品により検証。明治から現代までの写実絵画を展示することで、写実のゆくえを追う。