2018.8.26

沖縄戦を記録したサイレント映像にヒューマンビートボックスを重ねて。山城知佳子が《土の人》に込めた思いとは?

沖縄出身のアーティスト・山城知佳子の個展「土の人」が、KYOTO EXPERIMENT 2018(京都国際舞台芸術祭)にて開催される。会期中には、山城らによる新作ライブパフォーマンスも行われる。会場は京都芸術センター。会期は10月6日〜11月18日。

山城知佳子 土の人 2016-2017 協力=あいちトリエンナーレ2016 © Chikako Yamashiro, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
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 山城知佳子は1976年沖縄生まれのアーティスト。99年沖縄県立芸術大学美術工芸学部油画科専攻卒業。その後、2000年からイギリスのサリー州立アート・アンド・デザイン大学に留学し、02年に沖縄県立芸術大学大学院環境造形専攻を修了した。

 おもな個展に、「墓庭の女」(前島アートセンター、沖縄、2002)、「Garden Talk」(プロジェクトスペースKANDADA、東京、2007)。グループ展に、第2回恵比寿映像祭「歌をさがして」(東京都写真美術館、2010)、「現代日本のアート、パフォーマンスとアクティヴィズム」(パンプハウス・ギャラリー、ロンドン、2012)、「アジアの女性アーティスト展:アジアをつなぐ―境界を生きる女たち 1984-2012」(福岡アジア美術館ほか巡回、2012-13)などがある。

山城知佳子 土の人 2016-2017 協力=あいちトリエンナーレ2016 © Chikako Yamashiro, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

  これまで山城は、時に自身も被写体として写真や映像のフレームに入りこみながら、土地や個人の記憶から呼び起こされるリアリティを皮膚感覚とともに感じさせるような作品を制作してきた。今年の「KYOTO EXPERIMENT 2018(京都国際舞台芸術祭)」では、山城の出身地であり過酷な戦争経験を抱える沖縄と、沖縄と相似した歴史を持つ韓国の済州島で撮影された映像インスタレーション《土の人》と、これに連なる過去作品が展示される。

 鳥が落とした糞の中に紛れていた種子が大地に横たわる人々を覚醒させる、といった神話的なシーンで始まる本作は、戦争の歴史における現実とフィクションが画面の中で交錯する。山城は本作において、沖縄戦を記録したサイレントの映像にヒューマンビートボックスを重ねることによって身体性を含ませ、かつて/これからの戦争への想像力を起動させることを狙っている。なお会期中には、本作から発展したという新作ライブパフォーマンス《あなたをくぐり抜けて―海底でなびく 土底でひびく あなたのカラダを くぐり抜けて―》も行われる。こちらもあわせてチェックしたい。