香港民主化デモと世界的パンデミックに揺れるなかで。リー・キットの個展「(Screenshot)」に注目
絵画や映像を用いながら、詩的なインスタレーションを手がけるリー・キット。その個展「(Screenshot)」が、東京・六本木のシュウゴアーツで開催されている。会期は2021年1月30日まで。
アジアのアートシーンを牽引するリー・キットの個展「(Screenshot)」が、東京・六本木のシュウゴアーツで開催されている。会期は2021年1月30日まで。
リーは1978年香港生まれ。台湾を拠点に、アジア、アメリカ、ヨーロッパ各地で滞在制作を行う。展覧会では、その場の空気に呼応するようなサイトスペシフィックな作品を展開。絵画やドローイング、プロジェクターの光や映像などを用いながら、詩的なインスタレーションを制作してきた。
日本では、2018年に原美術館で個展「僕らはもっと繊細だった。」を開催。現在も閉館を迎える同館最後の展覧会「光―呼吸 時をすくう5人」に参加している(~2021年1月11日)。
2019年3月より、リーの故郷である香港では継続的に香港民主化デモが行われ、かつてない過酷な現実に晒されている。その約1年後には、アジアから新型コロナウイルスが全世界へ広がった。混乱の渦のなか「(Screenshot)」と題された本展は、「罪」の概念に基づいて構成したという。
アーティストとしての心境の変化について「How to make things happened(どのように物事を引き起こすか)」という意味では大きく変わらないとコメントするリー。これまで現地の空気にふれ、その場所で制作を行ってきたが、今回は東京を訪れることなく、滞在先の台湾から日本へ「展示設営インストラクション」を送り、遠隔で協力し合いながらインスタレーションをつくり上げた。
本展では、絵画作品をはじめ、リーが6年前より継続的にFacebookに投稿してきたフォト・ドキュメンタリーの写真作品も展示される。またリーは、12月19日より開催される香港のアートスペース「Oi!」でのソロプロジェクトのほか、21年2月にオランダのWest Den Haag、3月に台北の関渡美術館、そして9月に上海の外灘美術館と続けて個展を開催予定。精力的な活動に注目したい。