テキスタイルデザインの第一人者・須藤玲子、過去最大の個展がCHATで開催。ライゾマ・齋藤精一も協力
日本のテキスタイルデザインの第一人者として国内外で活躍する須藤玲子。その過去最大規模となる個展が、香港のアートセンター「CHAT(チャット / Centre for Heritage, Arts and Textile)」で開催される。会期は11月24日〜2020年2月23日。
日本のテキスタイルデザインの第一人者として知られ、国内外の美術館が作品を所蔵する須藤玲子。その過去最大規模となる個展が、今年開館した香港のアートセンター「CHAT(チャット / Centre for Heritage, Arts and Textile)」で開催される。会期は11月24日〜2020年2月23日。
須藤玲子は武蔵野美術大学助手を経て、株式会社「布」の設立に参加。現在は同社の取締役デザインディレクターを務めている。
2008年より良品計画のファブリック企画開発、鶴岡織物工業協同組合、株式会社アズのデザインアドバイスに携わり、16年には無印良品アドバイザリーボードに就任。日本の伝統的な染織技術から先端技術までを駆使した作品は国内外で高い評価を得ており、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館、東京国立近代美術館工芸館などに永久保存されている。
2018年には国立新美術館で300匹以上のテキスタイルでできた鯉のぼりを展示した個展「こいのぼりなう!」を開催し、話題を集めた須藤。その過去最大規模となる個展が、CHATの「須藤玲子の仕事―NUNO のテキスタイルができるまで(Sudo Reiko: Making NUNO Textiles)」だ。
会場となるCHATは、今年3月に香港の荃湾(チェンワン)にオープン。紡績工場跡地をリノベーションした、文化とビジネスの複合施設「The Mills(ザ・ミルズ)」にあるアートセンターで、香港のテキスタイル産業の歴史を伝えながら、テキスタイルの素材やアジアにおけるテキスタイル産業の歴史、現在のテキスタイル産業の問題点を主題にした展覧会などを開催している。元水戸芸術館主任学芸員・高橋瑞木が共同ディレクターを務めていることも注目のポイントだ。
本展では、ライゾマティクス・アーキテクチャーの齋藤精一をアーティスティック・ディレクターに迎え、須藤がデザインしたテキスタイルが、どのような製造工程を経てつくりだされるのかを映像や音を取り入れたインスタレーションで紹介。また、手書きのスケッチやドローイング、テキスタイルの原料や作品のプロトタイプなども公開する。加えて、「こいのぼりなう!」でも展示されたテキスタイルの鯉のぼりは、フランスのデザイナー、アドリアン・ガルデールの新しい展示デザインで公開されるという。
須藤のアイデアの源泉からスケッチ、素材、製造過程までを紹介する展覧会は、今回が初めて。なお展覧会開幕から2週間は、一般来場者が参加できるNUNOのファブリックを使ったワークショップや、布の染色のワークショップも開催される。