サザビーズが3つのイブニングセールで約654億円の総売上を記録。前年比で64パーセント増
5月12日にニューヨークで開催された3つのイブニングセールで、サザビーズが約5億9700万ドル(約654億円)の総売上を記録。この数字は、同社前年同期のセールに比べて64パーセント増加している。
サザビーズが5月12日にニューヨークで開催された「印象派&近代美術」「現代美術」「American Visionary」イブニングセールで、約5億9700万ドル(約654億円)の総売上を記録。同社前年同期のセールに比べて64パーセント増となった。
印象派&近代美術イブニングセールでは、クロード・モネが晩年に制作した大規模な睡蓮の絵画《Le Bassin aux nymphéas》(1917-19)が約7035万ドル(約77億円)で落札され、同セールの最高額を記録した。
美術館での収蔵歴がある作品も出品され、ニューヨークにある博物館・ニューヨーク歴史協会から出品された、アメリカ人画家フレデリック・チャイルド・ハッサムが国旗をモチーフにした絵画《Flags on 57th Street, Winter 1918》(1918)は約1233万ドル(約14億円)で落札。ドイツ・ケルンにあるルートヴィヒ美術館に約45年所蔵されていたが、今年4月に本来の所有者の相続人に返還されたエゴン・シーレの水彩画《Kauernder weiblicher Akt》(1917)は約401万ドル(約4億円)で落札され、いずれも予想落札価格を超えている。
現代美術イブニングセールでは、ジャン=ミシェル・バスキアの《Versus Medici》(1982)は5082万ドル(約56億円)で落札され、サザビーズに出品されたバスキアの作品では、ZOZOの創設者・前澤友作が2017年に1億1000万ドル(約123億円)以上で落札した作品に次ぎ、その過去最高額の2番目を記録。いっぽう、今月11日にクリスティーズ・ニューヨークの21世紀美術イブニングセールでは、バスキアの《In This Case》(1983)が9310万ドル(約101億円)で落札され、アーティスト史上過去2番目の高額を記録した。
ロバート・コレスコットがデラウェア川を渡るワシントンを題材にした絵画《George Washington Carver Crossing the Delaware: Page from an American History Textbook》は約1532万ドル(約17億円)で落札され、アーティストのこれまでのオークション記録の16倍以上となった。
そのほか、エリザベス・ペイトンが描いたデヴィッド・ボウイの肖像画《David Bowie》(2012)は最高予想落札価格の3倍近くとなる約208万(約2億円)で、ニューヨークで活動するパキスタン生まれのサルマン・トゥールの絵画《The Arrival》は最高予想落札価格の10倍以上となる約87万ドル(約9500万円)で落札された。
昨年逝去した慈善家でありアートコレクターであるアン・マリオンの個人コレクションを初めて公開した「American Visionary」セールでは、アンディ・ウォーホルがエルヴィス・プレスリーをモチーフにした《Elvis 2 Times》(1963)は3700万ドル(約41億円)で落札。そのほか、クリフォード・スティルの《PH-125(1948-No. 1)》、リチャード・ディーベンコーンの《Ocean Park #40》、ゲルハルト・リヒターの《Abstraktes Bild》は、いずれも2000万ドル(約22億円)以上の価格で競り落とされた。
サザビーズの会長兼グローバル・ファイン・アートのワールドワイド・ヘッド・オブ・セールスであるブルック・ランプリーは今回の結果について、「世界中のコレクターが20世紀と21世紀のアートの全領域を求めて大挙して訪れている」とコメントしている。
ジュネーブ、ロンドン、パリにあるサザビーズの支社で行われたセールを含め、今週のサザビーズの全世界におけるオークション売上高は約6億7290万ドル(約737億円)を達成。なお今月には、印象派&近代美術デイセールや、アメリカ美術や女性アーティストに特化したセールも開催予定となっている。