2021.5.18

クリスティーズが20・21世紀美術のセールで約844億円の総売上を達成。ピカソの大作は約113億円で落札

5月11日〜14日にニューヨークで開催された「21世紀美術」「20世紀美術」イブニングセールと3つのデイセールで、クリスティーズが合計約7億7270万ドル(約844億円)の売上高を記録した。パブロ・ピカソの《Femme assise près d'une fenêtre(Marie-Thérèse)》(1932年)は1億341万ドル(約113億円)で落札され、2年ぶりにオークションでは1億ドルを超えた作品となった。

5月13日にクリスティーズ・ニューヨークで開催された「20世紀美術」イブニングセールの様子 出典=クリスティーズのウェブサイトより
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 5月11日〜14日にクリスティーズがニューヨークで開催した「21世紀美術」「20世紀美術」イブニングセールと3つのデイセールが、合計約7億7270万ドル(約844億円)の売上高を記録した。

 11日に行われた21世紀美術イブニングセールでは95パーセントの出品作が落札され、合計約2億1047万ドル(約230億円)の売上高を達成。同セールのハイライトは、9310万ドル(約101億円)で落札され、アーティストのオークションにおける過去最高額の2番目を記録したジャン=ミシェル・バスキアの《In This Case》(1983)だ。

 クリプトアートムーブメントの始まりとして評価されている、アーティスト・デュオ「Larva Labs」が開発したアートプロジェクト「CryptoPunks」から出品された9つのNFT作品は、最高予想落札価格900万ドルに対して約1696万ドル(約18億5000万円)で落札。マルティン・キッペンベルガーの立体作品《Martin, ab in die Ecke und schäm dich(Martin, Into the Corner, You Should Be Ashamed of Yourself)》は952万ドル(約10億4000万円)で落札され、その収益は、新型コロナウイルスワクチン接種プログラムなどを支援するための資金を調達する緊急支援NPO「CORE(Community Organized Relief Effort)」に寄付されるという。

Larva Labs「CryptoPunks」より 出典=クリスティーズのウェブサイトより

 また同セールでは、女性アーティストの作品も多くの注目を集めた。リネット・イアダム・ボアキエ(《Diplomacy III》、落札価格195万ドル)、ミカリーン・トーマス(《Racquel Reclining Wearing Purple Jumpsuit》、同183万ドル)、ニーナ・シャネル・アブニー(《Untitled(XXXXX)》、同99万ドル)などのアーティストはそれぞれのオークション記録を更新した。

 13日に行われた20世紀美術イブニングセールでは98パーセントの出品作が落札され、約4億8111万ドルの売上高を記録。開催前に注目を集めていたパブロ・ピカソの《Femme assise près d'une fenêtre(Marie-Thérèse)》(1932年)は、20分間の激しい競り合いの末に1億341万ドル(約113億円)で落札され、2019年5月以降に開催されたオークションでは初めて1億ドルを超えた作品となった。

パブロ・ピカソ Femme assise près d'une fenêtre(Marie-Thérèse) 1932 出典=クリスティーズのウェブサイトより

 そのほか、マーク・ロスコの《Untitled, 1970》とフィンセント・ファン・ゴッホの《Le pont de Trinquetaille》は3740万ドル(約41億円)以上、ピート・モンドリアンの《Composition:No.II, With Yellow, Red and Blue》とロイ・リキテンスタインの《Interior:Perfect Pitcher》は2150万ドル(約23億5000万円)以上の価格で落札された。

 そして翌14日に開催された3つのデイセールでは、15点の作品が100万ドル以上で落札され、ルイーズ・ネヴェルソンやクレア・タブレ、マッカーサー・ビニオンなど9人のアーティストがオークション記録を更新した。

 なお、サザビーズは5月12日にニューヨークで開催された「印象派&近代美術」「現代美術」「American Visionary」イブニングセールで、約5億9700万ドル(約654億円)の総売上を記録。2大オークションハウスはスプリングセールで約13億7000万ドル(約1496億円)の総売上高を達成している。