絵と言葉のミュージアム「PLAY! MUSEUM」が開館。ローカルに溶け込む存在目指す
東京・立川の昭和記念公園近くに開業した複合施設「GREEN SPRINGS」。このなかに、絵と言葉のミュージアム「PLAY! MUSEUM」が開館した。
近くにある美術館の存在意義、より高く
東京・立川の駅北側、昭和記念公園の向かいに開業した巨大複合施設「GREEN SPRINGS」。このなかに、絵と言葉をコンセプトに掲げたミュージアム「PLAY! MUSEUM」が誕生した。
「PLAY! MUSEUM」は、プロデューサーをブルーシープ代表の草刈大介が、アートディレクションを菊地敦己が担当するミュージアム。作家・作品を特集する企画展と、年間を通して著名な絵本作家を紹介する常設展のふたつを同時開催する施設だ。
約3年をかけて準備してきた同館は、新型コロナウイルスの影響で当初予定より2ヶ月遅れての開館。草刈は、この美術館について、「美術館はより地元のものであるべきだ、という明確なミッションがある」としつつ、「(コロナで)遠くに行きにくい状況が続くなか、近くにある美術館の存在意義はより高くなる。ローカルに溶け込み、みんなの場所になっていきたい。大人から子供まで楽しめるものを入口にして、アートが持つ深みに入っていくきっかけになれば」と同館の意義と展望を話す。
館内は、ダクトなどの建材が一部剥き出しになったデザイン。建築を担当した手塚建築研究所の手塚貴晴と手塚由比は「展示が一番生きて見えるように、空間はできるだけなにもしないよう、ライブな感じが残るようににデザインした」としており、グラフィックを担当した菊地も、「完成させないもの、持続的に何かが行われていく空間を目指した」と語る。
ではその内部を見ていこう。
同館では、年3〜4本の企画展と、1年間継続する常設展とで展示を構成。こけら落としとして、企画展は「tupera tuperaのかおてん.」(6月10日〜12月29日)が、常設展は「エリック・カール 遊ぶための本」(6月10日〜2021年3月28日)が開催される。
この企画展と常設展について、草刈は「常設展は完成された作家、とくに絵本作家を技法など含めて紹介する、学びの意味合いが多いもの。企画展は、できあがった作品を並べるだけでなく、空間のなかの楽しみを見つけていくようなもの」を行っていくとしている。
企画展「tupera tuperaのかおてん.」
「tupera tuperaのかおてん.」は、様々な絵本の賞を受賞し、高い人気を誇る亀山達矢と中川敦子によるクリエイティブ・ユニット「tupera tupera(ツペラ ツペラ)」の作品を、「顔」というテーマで構成したもの。
「顔」をテーマにした絵本原画はもちろんのこと、2メートルもの巨大な顔が並ぶ新作《かお10(テン)》や、新作映像《かおつくリズム》などを展示。顔の表現の楽しみを様々な角度から提案する。本展について、tupera tuperaは「PLAY!というミュージアムの名の通り、顔というテーマでみんなで遊んでほしい」と話す。
常設展「エリック・カール 遊ぶための本」
いっぽうの常設展「エリック・カール 遊ぶための本」は、マサチューセッツ州にあるエリック・カール絵本美術館との共同企画展だ。
『はらぺこあおむし』をはじめとする数々の絵本で知られるエリック・カール。その絵本原画をはじめ、実際に着用していたスモックや筆、絵具といった資料も展示。作品ができるプロセスを、「くぐる」「あそぶ」「きく」などの遊び方にわけ、立体的な展示空間によって伝えるものとなっている。
草刈は常設展の最初に本展を選んだ理由について、「エリック・カールはスタジオで誰にも見せない作品もつくっていた。じつはバックグラウンドが幅広い作家なので、トップバッターにふさわしいと考えた」とコメント。同展企画を担当した服部彩子は「エリック・カールの新しい一面に触れてもらえたら嬉しい。子供目線で大人もたくさんの発見をするような場になれば」と語っている。
なおこのPLAY! MUSEUMの上階には、子供のための屋内広場「PLAY! PARK」も誕生(6月19日オープン)。「子供と一緒に遊べる場所」として設計されたこの広場は、直径22メートルの巨大な皿型の空間を中心に、ファクトリーやライブラリーなども併設されている。PLAY! MUSEUMとあわせて楽しみたいスポットだ。