ファッションフォトの巨匠。シャネル・ネクサス・ホールでギイ・ブルダンの変遷をたどる
ファッション誌のみならず、シャネルやシャルル ジョルダンなど様々なブランドの広告も手がけたギイ・ブルダン(1928〜1991)。その写真展「The Absurd and The Sublime」が、東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで始まった。会期は10月24日まで。
フランスを代表するファッションフォトグラファー、ギイ・ブルダン(1928〜1991)の写真展「The Absurd and The Sublime」が東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールでスタートした。会期は10月24日まで。
パリに生まれたギイ・ブルダンは、1948〜49年のセネガル共和国ダカールでの兵役中に空軍の見習いとして写真を学び、その後50年にパリに戻ったのち、絵画と素描による初個展を開催。翌年にはシュルレアリスムの大家であるマン・レイのスタジオの門を叩き、弟子となった。52年には初の写真展を開いており、その際はマン・レイがカタログの序文を書いている。
転機となったのは54年のこと。パリ『ヴォーグ』の編集長だったエドモンド・シャルル・ルーに出会い、翌年2月号の同誌で初めてファッション写真が掲載。これ以降、ファッション誌のみならず、シャルル ジョルダン、イッセイミヤケ、ヴェルサーチ、そしてシャネルなど、名だたるブランドの広告も数多く手がけた。これまで、ヴィクトリア&アルバート博物館、テート・モダン、ジュードポーム美術館、ゲッティ美術館などで作品が展示されており、2006年にはブルダンの国内初となる写真展が東京都写真美術館で開催されている。
本展は、ブルダンの息子であるサミュエル・ブルダン協力のもと、そのアーカイブのなかから作品を選出。パリ『ヴォーグ』でデビューを飾った作品から、シャルル ジョルダンの広告ビジュアルなど、ギイ・ブルダンを象徴するような作品群を見ることができる。
また、本展ではこれまで展示されたことのない50年代のオリジナルプリントも展示。またモノクロのヴィンテージ写真からは、ブルダンがマン・レイから受けた影響や、初期の実験と独特のスタイルの進化を確認することができる。
本展キュレーターのインディア・ダルガルカーは、ギイ・ブルダンをこう評する。「ギイはイメージを刷新し、ストーリーを探求し、時代を変えることにその生涯を費やしました。ギイは真のアーティストであり、彼の写真は今もなお、最初に登場したときと同じように謎めいた魅力を漂わせています」。
今も色褪せることがないギイ・ブルダンの写真の数々。その変遷をたどりたい。