EXHIBITIONS

キャスリーン・ジェイコブス展

キャスリーン・ジェイコブス UUNIX 2018 ©︎ Kathleen Jacobs

キャスリーン・ジェイコブス GREEK 2018 ©︎ Kathleen Jacobs

キャスリーン・ジェイコブス KUMBA 2020 ©︎ Kathleen Jacobs

キャスリーン・ジェイコブス PRNCE 2017 ©︎ Kathleen Jacobs

キャスリーン・ジェイコブス TRIKY 2017 ©︎ Kathleen Jacobs

 ファーガス・マカフリー東京は、アメリ力人作家キャスリーン・ジェイコブスのアジア初個展を開催。本展はCADAN 有楽町での「KATHLEEN JACOBS by Fergus McCaffrey Tokyo」展(5月17日~6月5日)との同時期開催となる。

 ジェイコブスは1958年アメリ力・コロラド州生まれ、緑豊かな環境で育った。ボストンのパイン・マナー・カレッジを卒業したのち、80年にイタリア・ミラノに渡り、グラフィックデザインを学ぶ。その後、中国と香港に移住し、4年間の滞在中、著名な画家・黄永玉(ホアン・ヨンギュ)に師事。書道の学習を通して、様々な素材と技法を使用し点や線から模様を生み出す「マーク・メイキング」に没頭する。世界各地での経験を踏襲し、88年よりライフワークとなる木を題材とした作品の制作を始めた。

 木の幹にキャンパスを巻き、その樹皮の模様を写しこむ独特の方法で制作されるジェイコブスの作品は、対象の樹木が生息する自然環境、そしてその変化の経緯を布地に取り込むことで生み出されている。平面作品の枠を超えるコンセプチュアルな絵画作品は世界中で注目され、30年以上にわたる作家活動を通し、アメリカ国内外の様々な会場で作品を発表してきた。

 中国の人間国宝にあたる臣家の黄永玉から中国伝統美術を学び、「14世紀から16世紀の絵画や漢詩の途方もないスケールの捉え方に触発された」と語るジェイコブス。中国の明代初期の秋冬の山水画を連想させ、余白の多いミニマルな画面に途方もなく広がる距離を感じさせるジェイコブスの絵画空間は、その経験に根付いている。そして、わずかな筆墨と線で多くを表現する簡素な視覚言語、また石に刻まれた古代文字の拓本を手本に書を学習した経験は、独自の樹木を用いるフ口ッタージュ技法へとつながっていった。

 2会場での同時期開催となる個展では、ファーガス・マカフリー東京にて主に絵画の大作を、いっぽうCADAN 有楽町では、小サイズの絵画作品および立体作品を展示する。