Seeing without a Seer

　ファーガス・マカフリー東京で、8人のアーティストによるドローイング展「Seeing without a Seer」が開催されている。

　いつの時代もアーティストたちは、パターン化された制作活動や習慣から解放され、前例にとらわれない開かれた景色を作品に取り込むための方法として「ディスキリング」（熟練した技術の解体）を模索してきた。日本の重要な哲学者である西田幾多郎（1870〜1945）は度々、合理的思考と自意識を取り払うことで作家の権威が新たな境地に服従し、無の純粋経験に到達する「見るものなくして見る（Seeing without a Seer）」という現象について語っている。

　ドローイングはしばしば、作家の手と意識が最も直接的につながる表現と考えられ、西東洋を問わず、世代を超えアーティストは様々な意識と物理的な手法を用い、未開の創造的な領域に足を踏み入れようとしてきた。本展では、サイ・トゥオンブリーの左手のドローイングや、2メートルの柄の筆で描かれる中西夏之のドローイングなど、慣れ親しまれた方法を離れ、新たな地平を追求したアーティストを紹介する。

　参加アーティストは、ジョー・ブラッドリー、セシリー・ブラウン、サム・フランシス、マーシャ・ハフィフ、中西夏之、ブライス・マーデン、サイ・トゥオンブリー、吉原治良。