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篠田桃紅 とどめ得ぬもの 墨のいろ 心のかたち

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篠田桃紅 詩 1952 (公財)岐阜現代美術財団蔵

 100歳を超えてなお、新たな表現に挑戦し続ける篠田桃紅。伝統と革新をその身に刻み込み、移ろいゆくものに心を寄せて真の美を探求してきた。

 篠田桃紅は1913年中国・大連出身。5歳で父の手ほどきを受けた書を独学で極めると、文字のかたちにとらわれず墨で描く独自のスタイル「水墨抽象画」を確立させた。

 1956年に単身渡米し、ニューヨークを拠点にボストン、シカゴ、パリほかで個展を開催。1958年に帰国後は、壁画や壁書、レリーフといった建築に関わる仕事や増上寺大本堂(東京・芝)の襖絵などの大作、一方でリトグラフや装丁、題字、随筆を手がけるなど、活動は多岐にわたる。

 本展では初の試みとして、書道という枠の中で発展した初期の作品から、文字を離れ、墨の色や線を追求する独自の抽象表現を確立したニューヨークでの挑戦、日本の古典をベースに昇華された繊細で優美な表現、そして余分なものをすべて削ぎ落とし、一瞬の心のかたちを追求し続ける現在までの変遷を約90点の作品と資料を通して体系的に展観。自然の幽玄さと宇宙の無限の広がりを感じさせる「墨いろ」が、現代を生きる桃紅によって再定義された日本の普遍的な美のかたちを奏でる。