映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』のケヴィン・マクドナルド監督に聞く、つくり手の孤独と未来の創造
9月20日、ファッションデザイナー、ジョン・ガリアーノのドキュメンタリー映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』が公開される。クリスチャン・ディオールのデザイナーとして天才デザイナーの名を欲しいままにしながらも、2011年に差別発言により逮捕、ブランドを解雇され、すべてを失ったデザイナー、ガリアーノ。彼が当時のことを洗いざらい語った本作のケヴィン・マクドナルド監督に、クリエイターの苦悩について話を聞いた。
9月20日にファッションデザイナー、ジョン・ガリアーノのドキュメンタリー映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』が、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開される。
ガリアーノは1960年ジブラルタル生まれ。セントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを首席卒業後、自身のブランドを立ち上げ、1995年にはジバンシィ、1996年にはクリスチャン・ディオールのディレクターに抜擢され、ファッション界の至宝と称えられた。しかし2011年2月、反ユダヤ主義的暴言を吐く動画が拡散され、その後有罪に。自身のブランドからも解雇された。14年にはマルタン・マルジェラのクリエイティブ・ディレクターとして復帰したものの、いまも当時の禍根を残すデザイナーだ。
このガリアーノが自身のことを「洗いざらい話した」相手が、本作で監督・プロデューサーを務めた、ドキュメンタリー作家のケヴィン・マクドナルドだ。1999年、ミュンヘンオリンピック事件を扱ったドキュメンタリー『ブラック・セプテンバー ミュンヘン・テロ事件の真実』(1999)でアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞。また、アンデスで遭難した登山家の体験を題材にした『運命を分けたザイル』(2003)で英国アカデミー賞を受賞している。ウガンダで独裁政治を敷いたサスペンス映画『消されたヘッドライン』(2009)や、ウガンダの独裁者イディ・アミンを題材とした『ラストキング・オブ・スコットランド』(2006)など、実在の人物に対する社会的な評価の複雑さに焦点を当てた作品を数多く手がけてきた。
映画公開にあたり、マクドナルド監督に本作を通じて見えてきたガリアーノの素顔、そして表現者の普遍的な苦悩について話を聞いた。