政府が進める「日本博」構想とは何か。2020年の日本開催に向け始動開始?
首相官邸が設置している「日本の美」総合プロジェクト懇談会。この会合のなかで、2020年の開催に向けて「日本博」構想を進める指示が安倍晋三首相よりなされた。この「日本博」とはどのようなものなのか?
首相官邸が設置している「日本の美」総合プロジェクト懇談会は、「我が国の文化芸術の振興及び次世代への保存継承を図るとともに、文化芸術と日本人の美意識・価値観を国内外にアピールし、その発展及び国際親善と世界の平和に寄与するための施策の検討に資するため」(官邸資料より)に内閣総理大臣の下に開催されているもので、2015年10月13日の初回を皮切りに、18年6月22日まで6回が開催されてきた。
懇談会の構成員は、俳優・演出家の津川雅彦を座長に、作家の林真理子、茶道裏千家前家元の千玄室、美術史学者(江戸時代絵画史)で岡田美術館館長の小林忠らが名を連ねている。
この第6回懇談会において現実味を帯びてきたのが「日本博」というプロジェクトだ。この言葉自体は15年の初回懇談会において、津川座長の「誇るべき日本文化を一堂に集めた『日本博』を世界の主要都市において開催したい」という発言の中で出現。
津川座長は「日本博」を「世界最古の縄文土器を初め、仏像、 浮世絵、美術、伝統ある漆器、陶器、磁器の工芸、着物、盆栽、そして、縄文のアニミズムの信仰から鳥獣戯画を経て北斎漫画、アニメーションに至るまでの歴史的展示を行う」ものとして定義しており、現在パリではこの内容に即したかたちの「ジャポニスム 2018」が展開されている。
そして今回、この「日本博」が2020年に日本で開催されようとしている。津川座長は第6回懇談会で「日本博」を日本において開催する意志を明らかにし、林芳正文部科学大臣は「大変時宜を得たものであり、正式な今後の方針ということになれば、 文部科学省としても関係省庁と連携の上で、必要な体制を構築し、しっかりと取り組んでまいりたいと考えている」と前向きな姿勢を見せる。また、安倍晋三内閣総理大臣も「文部科学省・文化庁が中心となり、関係府省と連携し、 万全、万端の態勢で進めるようお願いしたい」としており、ゴーサインが出たともとらえられる発言をしている。
具体的な動きなどはまだ見られないが、「日本博」は2020年の東京五輪における文化プログラムとどのように関連するのか、あるいは中心的なものとなっていくのか。今後の動向を注視したい。