バンクシーのシュレッダー作品《愛はごみ箱の中に》がドイツの美術館で正式展示へ
額縁に隠されていた装置で切り刻まれたことで一躍話題となったバンクシーの作品《愛はごみ箱の中に》。本作が、ドイツのフリーダー・ブルダ美術館で正式に展示されることがわかった。展示期間は2月5日〜3月3日。
2018年10月、ロンドンのサザビーズに登場し、100万ポンド(約1.5億円)で落札と同時に額縁に隠されていた装置で切り刻まれたことで一躍話題となったバンクシーの作品《Girl with Balloon(風船と少女)》。その後、ヨーロッパ人女性コレクターに購入され、作品名が《Love is in the bin(愛はごみ箱の中に)》と改称されるなど、昨年のアートマーケットの一大ニュースとして人々の関心を集めた。
その《Love is in the bin》が、このたびドイツのフリーダー・ブルダ美術館で正式に展示されることがわかった。
フリーダー・ブルダ美術館は、ヨーロッパ有数の温泉地であもあるドイツの都市、バーデン=バーデンに位置するプライベート・ミュージアム。2004年にオープンし、ドイツ人アーティストを中心に、近現代芸術の作品が多数コレクションされている。
同館では、ジグマー・ポルケ、ゲルハルト・リヒターらドイツ人アーティストの個展のほか、2014年にはストリートアーティスト・JRの大規模な個展や、18年にはアメリカのイメージに疑問を投げかける「AMERICA! AMERICA! HOW REAL IS REAL?」などの企画展も行ってきた。《愛はごみ箱の中に》の世界初展示にあたって、多くの候補者が名乗りをあげてきたが、今回は同館がその権利を勝ち取ったかたちとなる。
館長のヘニング・シャーパーは「若者やバンクシーのファンからの大きな関心が集まることが楽しみです」と期待を寄せると同時に、「《愛はごみ箱の中に》を台座の上に作品を飾るという誘惑に屈したくない。それはバンクシーも望んでいないことだと思いますし、“芸術を民主化する”という彼のアプローチにしたがい、多くの人が作品を見ることができる方法を検討しています」と話している。
なお会期中には、ドイツのライフスタイル・アートマガジン「Monopol」編集長のエルケ・ブーア、美術史家・文化研究者のヴォルフガング・ウルリッヒ、バンクシーの専門家であるウルリッヒ・ブランチによるトークイベントも行われる予定だという。