ミュシャで味わう「おいしい」世界。企画展「おいしいミュシャ 5感であじわうアール・ヌーヴォー」が開催中
ミュシャの作品から「味覚」にまつわる作品をピックアップし紹介する企画展「おいしいミュシャ 5感であじわうアール・ヌーヴォー」が大阪・堺市の堺 アルフォンス・ミュシャ館で開幕した。会期は7月30日まで。
アール・ヌーヴォーを代表する画家、アルフォンス・ミュシャ。その作品からシャンパン、ビスケット、フランス料理など「味覚」にまつわる作品をピックアップし紹介する企画展「おいしいミュシャ 5感であじわうアール・ヌーヴォー」が大阪・堺市の堺 アルフォンス・ミュシャ館で開催中だ。会期は7月30日まで。
本展は、味覚にまつわるミュシャ作品をメインに紹介。アール・ヌーヴォー風ダイニングの再現空間や「香り」「音楽」「触図(立体コピー)」といった、作品を5感で味わう鑑賞体験も用意される。
会場は5つのセクションとエピローグで構成される。セクション1では「味覚」をテーマに、大人のお酒から子供のお菓子まで、ミュシャが風味によって描き分けたポスターやパッケージデザインを展示。また、1896年の「サラ・ベルナールを讃える日」の祝宴メニューを、フランス料理の観点からも深掘りして紹介される。展示室内に登場するアール・ヌーヴォー風ダイニングとともに楽しみたい。
セクション2「嗅覚」では、ミュシャが描いた香水のためのポスターを紹介。本展にあわせて、5つのミュシャの絵からインスピレーションされたスペシャルフレグランスも開発されており、香りと絵画の新たな鑑賞体験を誘発してくれるだろう。
ほかにもセクション3では「触覚」をテーマに布や器、赤ちゃんなど肌ざわりを感じさせる絵画作品を、セクション4「視覚」ではミュシャによるポスターを通じて、印刷から娯楽分野といった19世紀の幅広い視覚文化が紹介される。
「聴覚」をテーマとしたセクション5では、楽器を手にした女性像や楽譜を展示するとともに、サラ・ベルナール主演の舞台「ロレンザッチオ」の劇中曲を、当時の楽譜をもとに収録・再生。ピアノの音色による鑑賞体験の拡張を試みるものだ。
エピローグでは「おいしいJOB ―当時の大人の嗜好品―」と題し、至福の表情が描かれたポスター《ジョブ》を展示。タバコの巻紙メーカーである同社の実際の製品や喫煙具も紹介し、当時のパリジャン・パリジェンヌの嗜みを紐解く内容となっている。
なお関連イベントでは「学芸員によるスライドトーク」に加え、「おいしさを伝えるテーブルコーディネートレッスン」や「シャドウボックスワークショップ」など、本展のキュレーションにあわせた新たな視点での体験も実施される予定だ。ミュシャの作品をきっかけに「おいしい」にまつわる世界に足を踏み入れてみるのも良いだろう。