香港を代表するギャラリー「クワイ・フォン・ヒン」がTokyo Gendaiに初出展。東洋と西洋のアーティストの多様な作品を展示
今年7月に開催されるアートフェア「Tokyo Gendai」に、香港を代表するギャラリーのひとつであるクワイ・フォン・ヒン(Kwai Fung Hin/季豊軒)が初めて出展する。
香港を代表するギャラリーのひとつ、クワイ・フォン・ヒン(Kwai Fung Hin/季豊軒)が、今年7月に開催されるアートフェア「Tokyo Gendai」に初めて出展する。
1991年、キャサリン・クワイによって設立された同ギャラリーは、20世紀の近代美術とアジアの現代美術を専門とするアートギャラリー。設立以来、同ギャラリーは東洋と西洋の文化間の有意義な対話を促進する役割を果たしながら、ギャラリー、コンサルタント会社、出版社、文化財団からなるダイナミックなネットワークを用いて様々なアーティストをサポートしてきた。
今年のTokyo Gendaiで同ギャラリーは、李華弌(リー・ファーイー)、謝景蘭(シェ・ジンラン)、白明(バイ・ミン)、薛松(シュエ・ソン)、諏訪敦、デニス・ラジェ、マッテオ・プグリエーセ、オズワルド・ビガス、ジアド・ダロール、ジョナス・ウッド、三宅一樹、張弓(チャン・ゴン)などの近代・現代アーティストの多様な作品を展示する。
例えば、1948年上海生まれのリー・ファーイーは、中国を代表する現代水墨画家のひとり。記念碑的な構図と卓越した筆致によって、北宋時代から続く中国の山水画の伝統を現代によみがえらせるその作品は、大英博物館、サンフランシスコのアジア美術館、ニューヨークのブルックリン美術館、ホノルル美術館、シカゴ美術館、香港のM+、香港芸術館などに収蔵されている。
2008年、李は日本の金屏風に水墨画を描き始め、19年と21年にはそれぞれ絹の上に金箔と銀箔を取り入れることで、新たな芸術世界を生み出している。日本で制作された作品《Resilient Pine Amidst Snow》(2024)は、墨と絹の構図に金沢産の最高級の銀箔が巧みに施されたもの。緻密で表情豊かな筆致によって下から見上げた松の木が力強く表現され、背景に描かれた銀箔の輝きは、雪の降り積もる様子と重ね合わせながら、松の木を無限に上へと送り出しているかのように見える。
ラランとして知られるフランス系中国人アーティストのシェ・ジンラン(1921〜1995)は、東西の文化だけでなく、様々な芸術の形態を融合させた前衛的な芸術で評価されている。彼女は、作曲家とソプラノ歌手の訓練を受けたという特異な経歴と、電子音楽やモダンダンスといった新しい芸術表現への探求を絵画と融合させ、独自のキャリアを確立した。
1960年代後半、ラランは道教の哲学と南宋の山水画を探求し始め、その結果、彼女の画風は大きく変化した。《無題》(1970年代)はこの時期を代表する作品。鳥瞰図で描かれたこの作品には、素早く繊細な筆致で輪郭を描かれた2羽の茶色い鳥のようなものが空を自由に飛んでいる。背景の中央に描かれた湖の緑は、周囲のスカイブルーと調和し、広大な海と空が織りなす静謐な雰囲気を醸し出している。
1969年ミラノ生まれのマッテオ・プグリエーセは、古典芸術を新鮮な情熱と生の想像力で再構築する現代彫刻家。Tokyo Gendaiでは、彼の代表的な2つのシリーズが紹介される。「The Guardians」は、異なる文化や宗教の守護神を描き、異なる文化的ルーツを探求する作品。「Beetles」は、アーティストの幼少期を彷彿とさせ、それぞれの作品にミニチュアの世界や思い出が詰め込まれている。
そのほかのハイライトには、バイ・ミンの陶磁器作品《The Spigot》(2024)やデニス・ラジェのキャンバス作品《Untitled》(2015)、シュエ・ソンの絵画《Brushstrokes (2)》(2024)、ジョナス・ウッドの静物画《Blackwelder Speaker Still Life》(2018)などもある。