10ヶ月で学ぶ現代アート 第6回:目に見えないものが「アート」になる?──現代アートの「多様性」
文化研究者であり、『現代美術史──欧米、日本、トランスナショナル』や『ポスト人新世の芸術』などの著書で知られる山本浩貴が、現代アートの「なぜ」を10ヶ月かけてわかりやすく解説する連載。第6回は、現代アートを象徴する潮流である「コンセプチュアル・アート」にフォーカスして、現代アートの多様性を紐解く。
本連載の初回で、つねに「現代アートとは何か?」と問うことで自らの存在を疑い続けざるをえない現代アートの宿痾と、そのような問いを動力源にして拡張し続けている現代アートの領域が、驚くべき多様性に彩られていることを説明しました。第6回目となる今回は、そうした現代アートの多様性をよく示す、ひとつの芸術潮流に的を絞ってお話ししていきます。じつは、今回お話しする芸術潮流の名称は、すでに初回で登場しています。トム・フリードマンやマウリツィオ・カテランといった現代アーティストを例に挙げて紹介した、「コンセプチュアル・アート」と呼ばれる近現代美術史上の動きが、本稿のメイン・テーマです。