SNS時代の美術館広報を支えるPRESS CAMP
いっぽう、洞田貫は美術館におけるSNSの重要性を、次のように語る。
「他館の広報についての相談に乗ることも多いのですが、やはりSNSでいかに目に止まるキャッチーな情報を入れられるのか、というのは、現在の広報においては重要なことです。だからプレスリリースを出すときも、もっとも押し出すべき情報を強調したり、SNS掲載時に使用できる画像をつねにダウンロードできるようにするということが、広報に求められることでしょう。例えばInstagramなどは、できるだけ長く広告を見せることをビジネスモデルにしています。こうしたSNSでは、ただ広報側が見せたいと思っているものを出すだけでなく、その情報に少しでも長く触れさせるためにテキストや画像を工夫することが広報に求められています」。
洞田貫晋一朗 PRESS CAMPではオンライン上でSNSでも活用できる情報や画像を24時間提供するだけでなく、SNS投稿代行やインフルエンサー施策(いずれもオプションメニュー)などを通してSNSの効果的なプロモーションを請け負うこともできるという。
橋爪はメディアの立場から、SNSの難しさについて次のように話す。「SNSが重要になるに従って、美術館でもメディアでもSNSを運用するコストは増大しています。美術館もSNSでとりあえず色々とやってみているところは多いですが、効果的な広報ツールとして有効に使えてないところも多い印象です」。
森美術館のXアカウントの投稿 美術館においては、とくにコロナ禍を契機に各種のSNSの有効活用を始めたところも多い。しかし、広報担当がプライベートでSNSを使ってなければ、ノウハウが足りないということも多々あるが、洞田貫は、それでもSNSに力を入れることの価値を次のように語った。
「SNS戦略の成否は、具体的な入場者数に結びつくという印象が強いです。会場出口でアンケートを取って情報を集めていますが、SNSで展覧会を知って訪れたという回答はとても多いですね。展覧会の存在そのものに興味を持ってもらうイメージに、少しでも長く触れてもらって実際の行動に移してもらうか。この思考が必要です」。
情報発信においてSNSを利活用するうえでも、PRESS CAMPの豊富な知見を使ってみるのも有効かもしれない。
広報の広がりを見せていきたい
最後に、PRESS CAMPが今後の広報において目指すことについて担当者は次のように話してくれた。
「『広報』の可能性の広がりを見せていきたいんです。誰かが情報に気がつくということは、本当に小さなきっかけが頼りだったりしますが、そのきっかけをつくるために、何をしたらいいのかわからない美術館やギャラリーは多いはずです。PRESS CAMPは予算的にも労力的にも気軽に使い始めることができるので、そういったきっかけになりそうなことを色々とつくって試してみて、判断材料にしてもらえるといいと思っています。小さいことでも、まずはプロの集団を頼ってもらえることで、広報の可能性は広がるはず。PRESS CAMPはその最初の一歩にふさわしいサービスだと思っています」。
モノやサービスがあふれる現代において、ひとりの人間が自由に使える「可処分時間」の奪い合いが指摘されるようになって久しい。限られた時間のなかで、文化芸術にどれだけ興味を持って、会場に足を運んでもらえるのか。そのための広報に本気で取り組むときに、PRESS CAMPは強い味方になってくれそうだ。