EXHIBITIONS

平田尚也・藤倉麻子・松田ハル「拡散距離 / コンヴァートの作法 / 可変太陽」

松田ハル Kiss 2022

 MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERYでグループ展「拡散距離 / コンヴァートの作法 / 可変太陽」が開催。現実空間と仮想空間を横断するような作品を制作している1990年代生まれの作家、平田尚也・藤倉麻子・松田ハルの3名が参加する。

 平田は1991年長野県生まれ。2014年に武蔵野美術大学造形学部彫刻学科を卒業。インターネット上で収集した既存の3Dモデルや画像などを、仮想空間上で彫刻を作るように組み立て、それらを写真や映像、3Dプリンタで出力した立体彫刻などを用いて現実空間に持ち込む。

 藤倉は1992年埼玉県生まれ。2016年に東京外国語大学外国語学部南・西アジア課程ペルシア語専攻を卒業後、2018に東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻を修了した。現代都市で目にする人工物を、置かれた場所が持つ文脈やそれ自体の性質を削いだ状態で3DCG空間に配置し、アニメーションやインスタレーションを用いて新たな景色を描いている。

 松田は1998年岩手県生まれ。2021年に筑波大学芸術専門学群美術専攻版画領域を卒業。現在は京都芸術大学大学院グローバル・ゼミに在籍している。人間の身体やフェイクグリーンを3DスキャンしたものをVR上で加工し、シルクスクリーン印刷や彫像へのドローイングによって、現実空間にイメージを複写する。

 本展では、現実空間と仮想空間を往復しながら、彫刻・映像・絵画や版画という異なるメディアを用いて表現される三者の作品が、つながりを持ちながら共存するような展示空間が展開される。現実空間に存在するものを仮想空間に現出させる際に生じるズレや違和感は、二項対立のように感じられる現実と仮想の関係性や、鑑賞する私たちを取り囲む現実への視点を浮かび上がらせるだろう。