EXHIBITIONS

落合芳幾

2018.08.03 - 08.26

落合芳幾 英名二十八衆句 春藤治郎左エ門 個人蔵

 幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師・落合芳幾(よしいく)の知られざる画業に迫る世界初の展覧会が開催される。

 芳幾は、動物の擬人化や海外の絵画表現を積極的に取り入れた師匠・歌川国芳の作風を受け継ぎ、魚を歌舞伎役者の似顔絵にした戯画や、影絵仕立ての役者絵のほか、武者絵、横浜絵、美人画など、様々なジャンルで奇抜なアイデアが光る作品を制作した。明治時代には、毎日新聞の前身となる東京日日新聞や、歌舞伎の雑誌の創刊に加わるなど、浮世絵師の枠を飛び越えた幅広い活動を行った。

 本展では、芳幾の代表作として、弟弟子である月岡芳年と競作した「血みどろ絵」と通称される《英名二十八衆句》を展示。歌舞伎や講談の殺害場面を物々しく描いた28点のうち、芳幾が担当した全14点を一挙に公開する。明治の事件を報道した新聞錦絵など、浮世絵の歴史を語る上で欠かせない作品を数多く手がけたものの、芳年や小林清親、河鍋暁斎などの絵師たちの影に隠れ、これまでほとんど注目されることのなかった画家の全貌を解き明かす。