北代省三「大型カメラの世界」展

　北代省三は1940〜90年代にかけて活動した美術家。『実験工房』のメンバーとして中核を担い、工業写真やグラフィックデザイン、模型飛行機、自作の飛行機からの空撮写真など、多岐にわたる分野で活躍した。

　76年には現代カメラの入門書として『大型カメラの世界』（朝日ソノラマ社）を上梓。都市の風景や、妻を被写体に撮影した作品など自身の作例を挿み、大型カメラの歴史や、エンジニアの経験を踏まえつつその構造と仕組みを解説した。

　いっぽうで、メカニズムを重視しすぎたことから写真を撮ることの原点を見失いかけた北代は、既製品のカメラから離れ、単純な構造で組み立てる自作カメラをつくることで、写真の楽しみを取り戻した。

　本展では、北代の作品を所蔵する川崎市岡本太郎美術館の協力を得て開催。『大型カメラの世界』のなかで図版として実際に使用された写真21点とともに、《自作ピンホールカメラ》や《自作カメラ「ねずみ捕り」》の自作カメラなども展示し、その活動の一端を紹介する。主催は東京パブリッシングハウス。