EXHIBITIONS

サーニャ・カンタロフスキー「Paradise」

サーニャ・カンタロフスキー Woe to Wit 2019 © Sanya Kantarovsky

サーニャ・カンタロフスキー Cataract(detail) 2019 Photo by Adam Reich © Sanya Kantarovsky

 ロシア・モスクワ出身のアーティスト、サーニャ・カンタロフスキーの日本初個展が開催される。

 カンタロフスキーは1982年生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動。ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(アメリカ)でペインティングを学び、カリフォルニア大学ロサンゼルス校でMFAを取得。ペインティングをはじめ、アニメーションや彫刻など様々に制作し、近年では、Luhring Augustine(ニューヨーク、2019)、クンストハレ・バーゼル(スイス、2018)、Fondazione Sandretto Re Rebaudengo(トリノ、2017〜18)で個展を行った。

 ペインティングにおいてカンタロフスキーがテーマとするのは、「欲望」そのものいかに描き出せるかということ。作中には、懇願する子供たちや、いやらしい目つきをした老人、行くあてのない世界人(コスモポリタン)、飢えた群衆が登場し、心身ともに苦悩に満ちたさまは、作家自身の制作活動に対する不安や緊張、迷いをも孕んでいる。

 本展では、浮世絵の風刺的で不穏なイメージづくりの伝統を参照した絵画作品と、アダチ版画研究所の協力を得て制作された木版画作品を発表。このほか、1階のビューイング・ルームでは、鬱全とした表情を描いた小絵画の作品群を展示する。