EXHIBITIONS

美術部門コレクション展示

美術家大辞典 鳥取県立博物館版

〈近現代編〉 な行・は行の美術家/〈近世以前編〉は行の美術家(上巻)

2020.05.09 - 06.28, 2020.05.13 - 06.21

第3特別展示室<近現代編> 会場風景

中ハシ克シゲ ニノミヤ君 1992 鳥取県立博物館蔵

浜田宜伴 青年像 1929 鳥取県立博物館蔵

フナイタケヒコ アシュラ(光) 1998 鳥取県立博物館蔵

藤原晴彦 DAY DREAM(Z) 1991 鳥取県立博物館蔵

作者不詳 稲嶺廣輔肖像 江戸後期 鳥取県立博物館蔵

土方稲嶺 糸瓜に猫図 江戸後期 鳥取県立博物館蔵

土方稲嶺 林和靖之図 享和3年頃 鳥取県立博物館蔵

「美術家大辞典」は、鳥取県立博物館の美術部門のコレクションに含まれる作品の作者を、辞典の形式に倣った五十音順ですべて紹介する新しい試み。各作家の活動時期によって近世以前と近現代とに区分し、2019年より「あ行」の名前を持つ美術作家から順に展覧しながら会期を重ね、今年度で完結する予定だ。

 第3特別展示室の<近現代編>では、主として明治期以降に作品を制作してきた作家から、私たちと同時代を共有しているアーティストまでを対象に、同館の収蔵作品を公開している。現在展示中の「な行・は行の美術家」は、中井金三、中ハシ克シゲ、ニシオトミジ、丹羽長兵衛、野崎信次郎、橋本興家、浜田宜伴、浜田庄司、林武、福留章太、フナイタケヒコなど。
 
 なかでも注目すべきは、「砂丘社」や「麓人会」といった鳥取県内で展開された芸術文化活動に関わった作家の多様さ。無作為に切り取られたコレクションの一端からもその豊かな系譜が垣間見え、郷土にゆかりのある作家や作品、それらに関連する美術を柱として、同館が継続的に収集してきた経緯が浮かび上がる。
 
 いっぽう、美術常設展示室の<近世以前編>は「は行の美術家(上巻)」として、今回は「鳥取画壇の祖」と称えられた鳥取藩絵師・土方稲嶺(ひじかた・とうれい)を特集。昨年度受贈した稲嶺の関連資料のうち、これまで知られてこなかった肖像画や、印章の数々を公開している。部屋で香を焚き、清浄な心で作画に当たったと伝わる稲嶺の堅固な構成力と写実に基づく、奥深い魅力を持った作品とあわせて、じっくり楽しみたい。