EXHIBITIONS

雨宮庸介「空間には1点の果物彫刻と息ぎれ、のこりはすべてバックヤード」

2020.09.11 - 10.10

雨宮庸介「空間には1点の果物彫刻と息ぎれ、のこりはすべてバックヤード」より

雨宮庸介 Fruits and the Colors 2020

 1975年茨城県水戸市生まれのアーティスト・雨宮庸介は、99年に多摩美術大学美術学部油画専攻を卒業。2011年に渡欧して、13年にアムステルダムのサンドベルグインスティテュートで修士課程を修了し、現在はドイツ・ベルリンを拠点に活動している。

 これまでの雨宮の彫刻作品には、活動初期から発表し続けているリンゴの彫刻作品《apple》をはじめ、熊のぬいぐるみやカエル、バナナなど、あえてサイズに「実物大」と表記する作品が多く存在する。それら日常的な事物は、サイズも含め、本物の細部に似せて繊細に制作されており、時に本物のリンゴより「リンゴらしい」存在感を放つ。

 これらの作品を手がけてきた雨宮は、本展準備中にコロナ禍に見舞われ、リモート職場やネットショッピングなどのオンライン社会の仕組みが加速したことにより、「実物大」であるとはどのようなことかを改めて熟考したという。

 本展では、タイトル「空間には1点の果物彫刻と息ぎれ、のこりはすべてバックヤード」にある通り、バナナや柿、梨など複数のフルーツが台座上に構成された彫刻作品を1点、メインスペースに展示。これまで「実物大」の精緻な彫刻作品に挑んできた雨宮が、コロナ禍の状況下で本展に向けて再考した「実物大」の作品を体感し、現状の社会のあり方を改めて考える場となる。