EXHIBITIONS

生誕110年記念

異才 辻晉堂の陶彫

2020.10.31 - 11.23

辻晉堂 沈黙 1957 鳥取県立博物館蔵

辻晉堂 寒山 1958 鳥取県立博物館蔵

辻晉堂 東山にて 1962 個人蔵 Photo by Tadayuki Minamoto

辻晉堂 カラカサのオバケ 1974 米子市美術館蔵

辻晉堂 緑陰讀書 1979 信州高遠美術館蔵 Photo by Tadayuki Minamoto

 陶彫による抽象作品で国際的に活躍した彫刻家・辻晉堂(つじ・しんどう、1910〜81)の生誕110年を記念した展覧会が開催されている。

 鳥取県日野郡溝口町二部村(現・西伯郡伯耆町二部)に生まれた辻は、1933年に力強い木彫を日本美術院で発表し、一躍脚光を浴びた。戦後、京都市立美術専門学校(現・京都市立芸術大学)の教授に就任してからは、セメントや鉄など多様な素材を駆使した彫刻教育の先鞭をつけるいっぽう、自らはやきものの常識を覆す大型の「陶彫作品」を第29回ヴェネチア・ビエンナーレ(1958)などに出品し、海外でも高い評価を得た。

 辻が京都へ赴任した1950年頃の東山周辺には多くの登り窯が点在し、京焼の生産が盛んに行われていた。こうした環境のなかで辻は、やきものによる彫刻作品への意欲を高め、「走泥社」といった同時代の若手の陶芸家たちにも大きな影響を与えた。

 本展では、辻が陶彫を制作した京都時代に着目。ヴェネチア・ビエンナーレ出品作をはじめ、版画作品を含めた約45点を紹介している。