EXHIBITIONS

御大典記念 特別展

よみがえる正倉院宝物

再現模造にみる天平の技

2021.04.20 - 06.13

模造 螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ) 正倉院事務所蔵

模造 酔胡王面(すいこおうめん) 正倉院事務所蔵

模造 黄金瑠璃鈿背十二稜鏡背(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう) 正倉院事務所蔵

模造 黄銅合子(おうどうのごうす)の表面を削っている様子

正倉院正倉 外観

 皇室の御慶事を記念した特別展「よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-」が九州国立博物館に巡回する。

 正倉院宝物は、奈良・東大寺の正倉に伝えられた約9000件におよぶ品々のこと。聖武天皇が崩御した際に、光明皇后が東大寺大仏に献納した御遺愛品などを中心とする宝物群は、その多くが奈良時代につくられ、西域や唐代の中国からもたらされた国際色豊かな品々も含まれている。

 正倉院宝物の本格的な模造製作は、明治時代に奈良で開催された博覧会を機に始められた。宝物の修理も手がけた名工たちによる模造製作はその後、材料や技法、構造の忠実な再現を目指すこととなり、以来、宮内庁正倉院事務所のもとで、熟練の技と最新の調査・研究成果との融合によって、高い芸術性と学術性を兼ね備えた再現模造が数多く生み出されている。

 本展では、天平の美と技に挑戦した再現模造の逸品を一堂に集めて紹介。8年をかけて完成した模造《螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)》をはじめ、現代によみがえった正倉院宝物の姿を通じて、伝統技術を継承することの意義を感じ取りたい。