三瓶玲奈「線を見る」

　画家・三瓶玲奈の個展「線を見る」がYutaka Kikutake Galleryで開催。本展では、近年三瓶が集中的に取り組んでいる作品シリーズ「線を見る」より、新作ペインティングを多数展示している。

　三瓶は1992年愛知県生まれ、2017年東京藝術大学大学院修了。これまで、人間は知覚を通じてどのように目の前にある風景や事物を認識しているのか、それらをより深く感受し記憶するためにはどうすればよいのかということを、絵画を通して追求してきた。

「線を見る」は三瓶が様々な季節、時間帯に通い、スケッチを繰り返しているひとつの場所をめぐって展開されているシリーズ。人や建築物、過ぎ去る自動車や日が暮れると灯される光、あるいは天気とともに変化する自然光、温度や湿度といった諸要素を確かめながら、三瓶はその場所の風景から線を見出し、線との関係性によって目の前に広がる風景を読み解き、絵画へと落とし込んでいる。

「線を見る」シリーズには、一見抽象的に見える画面とは裏腹に、極めて具体的な考察や感覚が満ちている。三瓶の作品は、絵画であるからこそ追求することができる知覚の姿があるのだということを、鑑賞者に伝えてくれるようだ。