EXHIBITIONS

丸亀での現在

「丸亀での現在」展チラシビジュアル デザイン:丸山晶崇(株式会社と)

KOSUGE1-16 モチΩスクランブル 2018 高知県立美術館 © 都築憲司[参考図版]

Nadegata Instant Party ホームステイホーム ドローイング 2021

旅するリサーチ・ラボラトリー(丸亀でのリサーチ)

 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館は、現代美術を通して「丸亀」を探る企画展「丸亀での現在」を開催。KOSUGE1-16、Nadegata Instant Party、旅するリサーチ・ラボラトリーの3組を迎え、それぞれが丸亀でのリサーチをもとに新作を制作・発表する。

 かつて城下町として発展し、金刀比羅宮への海の玄関口として多くの参詣者も訪れた丸亀。現在は、香川県の第二の都市として約11万人が暮らしている。

 本展は、地方都市の一例として、現代の丸亀に焦点を当てる。地域と関わるアートの現状や課題も含め、現代社会への独自の視座を持つアーティスト3組が、丸亀でのリサーチをもとに展覧会をつくり上げる。

 KOSUGE1-16は、車田智志乃と土谷享によるアーティスト・ユニットとして、2001年より活動を開始。現在はこれまでのコンセプトを引き継ぎ、土谷が代表として活動している。日常のありふれた環境、現象、人のつながりなどをきっかけに作品を制作し、作品を通して鑑賞者を参加者に変質させ、参加者同士、あるいは作品と参加者の間に「もちつもたれつ」という関係性を構築する。

 Nadegata Instant Partyは、美術家の中崎透、山城大督、アートマネージャーの野田智子によるアーティスト・ユニット。2006年より活動を開始。地域コミュニティにコミットし、それぞれの場所や状況に応じた「口実」を立ち上げ、多くの参加者を巻き込みながらひとつの出来事を「現実」としてつくり上げる。「口実」によって「現実」が変わっていくプロセスをストーリー化し、映像や演劇的手法、インスタレーションなどを組み合わせながら作品を展開している。

 旅するリサーチ・ラボラトリーは、アーティストのmamoru、下道基行、デザイナーの丸山晶崇が中心となり、2014年より活動を開始。17年にはアートマネージャーの芦部玲奈が加わる。ジャンルを問わず興味深いフィールドワークとアウトプットをしているリサーチャーや各地の資料館、 美術館などを訪ね、リサーチの手法やアウトプット、またそれらにまつわる作法に関するリサーチを行っている。

 展覧会の準備段階で本格化したコロナ禍で、リサーチの可能性を探り、それぞれのアプローチを生かしつつ協働することを試みた3組。本展でKOSUGE1-16は、丸亀でのリサーチに基づき、人と犬の関わりの歴史と現在から構想した新作インスタレーションを展示。Nadegata Instant Partyは、ステイホームの日常を踏まえ、コロナ禍で転換した状況をさらに転換するプロジェクトを立ち上げ、そのプロセスを含めて作品として提示する。

 そして、旅するリサーチ・ラボラトリーは、KOSUGE1-16とNadegata Instant Partyの2組による丸亀でのリサーチや作品制作、展覧会準備のプロセス自体を追い、リサーチとそのアウトプットをめぐる新たな展開をつくり出す。