EXHIBITIONS

機能と装飾のポリフォニー 交歓するモダン

2022.06.07 - 09.04

フェリーチェ・リックス=ウエノ テキスタイル「クレムリン」 1929 島根県立石見美術館蔵

アトリエ・マルティーヌ/ロジーヌ 本物のオー・デ・コロン 1912頃 海の見える杜美術館蔵

ガブリエル・シャネル イブニング・ドレス 1927頃 島根県立石見美術館蔵

マリアンネ・ブラント ブックエンド 1930/32 宇都宮美術館蔵

マルセル・ブロイヤー クラブチェアB3 1925 豊田市美術館蔵

 豊田市美術館で展覧会「機能と装飾のポリフォニー 交歓するモダン」が開催される。

 1910年代から30年代は、西欧を中心に世界で様々な「モダン」のかたちが現われた時代。機能主義に基づく「モダニズム」は、いまだに当時の中心的な動向とみなされているいっぽうで、大衆消費社会が進展したこの時代は、つねに新しくあるために装飾することに価値が置かれた、儚き「モダニティ」の時代でもあった。そしてこの対立的にとらえられてきた2つの「モダン」は、実際にはいくつもの「モダン」をうちに含み、それらは複雑に関係しながら濃密な時代をつくり上げていった。

 本展は、包括して紹介されてこなかったモダンデザインと装飾芸術、ファッションを一堂に集め、その関わりに焦点を当てるもの。1914年に第一次世界大戦が勃発したのち、急速に変化する社会のなかで、作家たちがときに交わり、ポリフォニーのように共鳴しながら探求したいくつもの「モダン」のかたちを紹介する。

 また本展は、フェリーチェ・リックス(上野リチ)らウィーン工房や、バウハウスで活躍した女性作家たちの作品にとりわけ注目。そして、バウハウスやデ・ステイルだけでなく、バウハウスと同時期にドイツで応用芸術教育を実践したブルク・ギービッヒェンシュタイン美術工芸学校や、フランスでモダンデザインを推し進めるために、ロベール・マレ=ステヴァンらが中心となった現代芸術家協会UAMなどの動向も取り上げる。