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2019.4.25

ゴールデンウィークはどこへ行く?
いま見るべき15の展覧会をピックアップ【東日本編】

まもなく始まる2019年ゴールデンウィークに向け、10連休を利用して訪れたい、編集部注目の15の展覧会を3回に分けて紹介する。第2回は東日本編。

清春芸術村ゲストハウス「和心」 © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of NMRL
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人々の暮らしをより豊かにするかたち。 「アルヴァ・アアルト―もうひとつの自然」(青森県立美術館

アトリエのアアルト 1945 © Alvar Aalto Museum photo by Eino Mäkinen

 フィンランドを代表する建築家 アルヴァ・アアルトの、日本では約20年ぶりとなる大規模展「アルヴァ・アアルト―もうひとつの自然」が青森県立美術館に巡回中だ。

 アアルトは1898年生まれ。パイミオのサナトリウム(1933)の設計で高い評価を受け、その後も私邸から公共建築にいたるまで、自然の素材を生かした有機的な建築を手がけてきた。また、アアルトがデザインした曲げ木の椅子、流線型のガラス器などのプロダクトは、いまなお世界中で親しまれている。

 本展では、そんなアアルトによるオリジナルの図面や建築模型、家具、ガラス製品など約300点を紹介。フィンランドの自然に根ざしたヒューマニズムの建築家、アアルトの魅力を伝える内容となっている。

 なお本展に関連し、同時期開催のコレクション展では「棟方志功のパッケージデザイン」や「菊地敦己のブックデザイン」、「成田亨:鬼と怪獣」などの章立てでデザインを特集。そのほかにも同館には、奈良美智の《あおもり犬》や《八角堂》が常設されている。こちらもあわせてチェックしたい。

会期:2019年4月27日~6月23日
会場:青森県立美術館
住所:青森県青森市安田字近野185
電話:017-783-3000
開館時間:5月31日まで9:30〜17:00、6月1日から9:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで)
休館日:5月13日、27日、6月10日
観覧料:一般 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 小・中学生無料
 

晩年の若冲の思いを重ねて。 「東日本大震災復興祈念 伊藤若冲展」(福島県立美術館

伊藤若冲 百犬図 個人蔵

 2016年、生誕300年を記念した展覧会で日本中に大きなブームを巻き起こした伊藤若冲(1716~1800)。福島県立美術館ではそんな若冲の作品110点が集結する「東日本大震災復興祈念 伊藤若冲展」をチェックしたい。

 若冲は京都の青物問屋の長男として生まれ、家業のかたわら独自の画風を確立。生きものたちの命の輝きをとらえた鮮やかな絵画を手がけた。本展は、1788年の京都大火災(天明の大火)で焼け野原になった故郷を目の当たりにした若冲と、福島の復興への思いを重ね合わせて行なわれるもの。

 本展では、若冲の遊び心が詰まった《百犬図》(1799)をはじめ、全国の美術館・博物館、寺社、個人や海外美術館の所蔵作品が一堂に会する。福島の地で、若冲の生き様や人柄に触れてみてはいかがだろうか。

会期:2019年3月26日~5月6日
会場:福島県立美術館
住所:福島市森合字西養山1
電話:024-531-5511
開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし5月6日は開館)
観覧料:一般 1500円 / 学生 1100円 / 高校生以下無料
 

地域アートの射程を問う。 「ウソから出た、まこと―地域を超えていま生まれ出るアート」(十和田市現代美術館

北澤潤  リビングルーム photo by Yuji Ito 参考画像

 青森・十和田市現代美術館では、同館が2018年から取り組む「『地域アート』はどこにある?」プロジェクトの一環として、「ウソから出た、まこと―地域を超えていま生まれ出るアート」が開催中。本展では「虚構」や「フィクション」をコミュニティに持ち込むことで、現実を動かす3組のアーティストによる実践を紹介する。

 北澤潤は、インドネシアの乗り物を貸し出し、来館者が実際に乗ることのできるプロジェクトを実施。Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子)はVRを用い、実際の出来事とフィクションが混ざり合う空間を展開する。そして14~16年に同館の館長を務めた藤浩志は、自らをモデルにした架空の作家の活動を小説化し、実際の活動の痕跡を展示する。

 賛否両論をあわせ、様々な意見が飛び交う「地域アート」の試み。そのあり方を丁寧に解体し、可能性や問題点をすくい上げることを目指す同館の取り組みに、これからも注目したい。

会期:2019年4月13日〜9月1日
会場:十和田市現代美術館
住所:青森県十和田市西二番町10-9
電話番号:0176-20-1127
開館時間:9:00〜17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌日。ただし4月30日、7月29日、8月5日、13日は開館)
料金:企画展+常設展 1200円 / 企画展のみ 800円 / 高校生以下無料
 

ミッフィーとアートを楽しもう。 「クレマチスの丘へミッフィーに会いにいこう!」(クレマチスの丘)

Illustration Dick Bruna  © copyright Mercis bv,1982  www.miffy.com

 静岡・長泉町の「クレマチスの丘」では、「クレマチスの丘へミッフィーに会いにいこう!」と題し、オランダの絵本作家・グラフィックデザイナー、ディック・ブルーナの2つの展覧会が開催されている。

 同敷地内のベルナール・ビュフェ美術館で行なわれるのは、「美術館に行こう! ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方」展。ブルーナの絵本『うさこちゃん びじゅつかんへいく』(1997)の内容に沿って、ミッフィーとともにビュフェ作品を楽しむことができる。

 いっぽう、ヴァンジ彫刻庭園美術館では「ミッフィーのたのしいお花畑 ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展」が開催。ブルーナが描く「花」と「植物」に焦点を当て、作品の数々を紹介する。そのほかにも両館では、ミッフィーに関連したワークショップやイベントが多数行なわれる。

 美術館のほかにも、文学館や広い庭園、レストランも併設するクレマチスの丘。大人も子供も、ミッフィーとともに豊かな自然と美術をめぐる1日を楽しむことができるだろう。

「美術館に行こう! ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方」
会期:2019年4月20日〜9月29日
会場:ベルナール・ビュフェ美術館
住所:静岡県長泉町東野クレマチスの丘515-57
電話番号:055-986-1300
開館時間:10:00〜18:00(9月〜17:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:水(ただし5月1日、8月14日は開館)
料金:大人 1000円 / 高校・大学生 500円 / 中学生以下無料

「ミッフィーのたのしいお花畑 ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展」
会期:2019年4月20日〜9月29日
会場:ヴァンジ彫刻庭園美術館
住所:静岡県長泉町東野クレマチスの丘347-1
電話番号:055-989-8787
開館時間:10:00〜18:00(9月〜17:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:水(ただし5月1日、8月14日は開館)
料金:大人 1200円 / 高校・大学生 800円 / 中学生以下無料
 

新素材研究所による新たな建築作品。 「清春芸術村ゲストハウス『和心』落成記念展 杉本博司」(光の美術館)

© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of NMRL

 山梨県北杜市に位置する「清春芸術村」をご存知だろうか? 約30年前に開かれた同地は、アール・ヌーヴォー様式によるパリの名建築を再現した「ラ・リューシュ」や谷口吉生設計の「ルオー礼拝堂」、安藤忠雄が設計した自然光のみの美術館「光の美術館」などの名建築が並ぶアートスポットだ。

 そんな同地に今年4月、新素材研究所(杉本博司+榊田倫之)が設計を手がけたゲストハウス「和心」が誕生した。平屋建ての「和心」には敷瓦や福島から切り出された巨石が用いられ、随所に杉本の美意識を見ることができる。

 そしてこのゲストハウスの落成にあわせ、敷地内の「光の美術館」で杉本の個展が開催される。本展では、これまで展示される機会の少なかった杉本の版画作品《陰翳礼讃》や《松林図》、版画を掛け軸に仕立てた《華厳の滝》《海景》などを紹介。春の光のなかで、名建築の数々と杉本の作品を堪能してほしい。

会期:2019年4月6日〜6月30日
会場:光の美術館(清春芸術村)
住所:山梨県北杜市長坂町中丸2072
電話番号:0551-32-4865 
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
料金:一般 1500 円 / 高校・大学生 1000 円 / 中学生以下無料 ※清春白樺美術館・光の美術館入館料を含む
※「和心」見学については清春芸術村に要問い合わせ