ゴッホもレンブラントも目の前に。Googleでアートを楽しむ方法
新型コロナウイルスの影響で多くの美術館・博物館が休館し、アートへのアクセスが制限されている。こうした状況に対するソリューションのひとつが、オンラインのアート・プラットフォームだ。
国内外で多くの美術館・博物館が休館となるなか、アートに触れることができる機会として注目を集めるのが、自宅でも鑑賞できるオンラインのコンテンツだ。
美術手帖でも度々取り上げてきたGoogle Arts & Culture(以下、GAC)は、オンラインで見ることができるアートプラットフォームの最たるものだろう。
GACには世界各国の美術館・博物館の情報が掲載されており、世界最大のアートプラットフォームとなっている。ここでは、そのユニークなコンテンツを紹介したい(GACをスマートフォンで閲覧する場合はアプリ推奨)。
美術館をストリートビュー
Google MAPの機能として知られるストリートビューは、ミュージアムにも使われている。
GACは世界各国のミュージアム協力のもと、その館内を撮影。ストリートビューには、大英博物館やオルセー美術館、グッゲンハイム美術館、アムステルダム国立美術館、東京国立博物館など名だたるミュージアムが参加しており、展示室内を(ある程度)自由に観覧することができる。
ARで見る名作
GACのユニークさは、ARなどの技術を多用しているところにある。例えば 「アートプロジェクター」は、GACに掲載されている作品を、ARによって現実空間に登場させるというもの。レンブラント・ファン・レインの代表作であり、幅4メートル超の大作《夜警(正式名称:フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ライテンブルフ副隊長の市民隊)》(1642)も、好きな場所で閲覧可能だ。
「ポケットギャラリー」では、フェルメール作品をARで鑑賞できる。ここに並ぶのは、《真珠の耳飾りの少女》(1665頃)をはじめ、《牛乳を注ぐ女》(1660頃)、《手紙を書く女》(1665〜66頃)といった代表作を含む36点。そのなかには、1990年にボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館で盗難され、いまだ所在不明の《合奏》(1664頃)も含まれる。まさにポケットサイズの展覧会と言える。
AR展覧会では、「The Art of Color」も楽しみたい。このサービスでは、古今東西の名作を色別に分け、ARの展示室に展示。展示室は「Reds & Browns」「Yellow & Orange」「Blues & Greens」「Black White & Grey」の4つから構成されており、ジャン=ミシェル・バスキア、フィンセント・ファン・ゴッホ、グスタフ・クリムト、マーク・ロスコ、レンブラント・ファン・レインなど、名だたる作家たちの代表作が並ぶ。
名画とセルフィーをマッチング
よりエンタメに特化したコンテンツもある。それが「アートセルフィー」だ。GACアプリからセルフィーを撮ると、自動で似た作品画像を検索。セルフィーとマッチ度が高い作品画像を提示してくれる。友だち同士でも楽しめるこのアートセルフィー。エンターテインメント要素を入口に、アートへのアクセシビリティを高める試みとしても注目度が高い。
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GACは、Googleが行う非営利の事業。世界中、ネット環境さえあればどこでもアートの広大な世界へとアクセスできる。アート・ワールドを新型コロナウイルスの脅威が覆うなか、GACの取り組みは、これまで以上に大きな意味を持つものになるだろう。