この時代にアートは何ができるのか? 森美術館で「カタストロフと
美術のちから展」が開催
東日本大震災やアメリカ同時多発テロ、リーマンショックなど世界各地で絶えず発生するカタストロフ(=大惨事)。六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展として、約40組の作品を通して美術の役割を問う「カタストロフと美術のちから展」が開催される。会期は2018年10月6日~2019年1月20日。
全人類にとって普遍的なテーマとして、幸福をテーマにした「ハピネス」展(開館記念展)、愛に注目した「LOVE展」(10周年記念展)などを開催してきた森美術館。15周年を迎える2018年は、東日本大震災やアメリカ同時多発テロ、リーマンショックなどを背景に「カタストロフ(大惨事)」をテーマとし、先行き不透明な国際社会において美術が果たす役割を問い直す。
「美術が惨事をどのように描いてきたのか」、そして破壊から創造を生みだす「美術のちから」を紹介する2つのセクションからなる本展は、アーティストが社会に介入し、作品や活動を通して社会に変革をもたらすことを目指す「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」など、現代美術が「社会をより良くする可能性」に着目。オノ・ヨーコや宮島達男による鑑賞者参加型の作品や、社会的メッセージが込められた作品を紹介し、美術と社会とのつながりを考察する。
また、東日本大震災の記憶を伝える作品も多数紹介。震災を契機に制作されたChim↑Pom、トーマス・ デマンド、池田学など約10作家の作品を紹介することで、震災にまつわる人々の記憶を蘇らせ、議論を再燃させることを目指す。
参加作家は、ヴェネチア・ビエンナーレやドクメンタに参加経験を持つトーマス・ヒルシュホルンのほかモナ・ハトゥム、アイザック・ジュリアン、畠山直哉、宮本隆司といったベテラン作家から、ストリート・アート界で活躍するスウーン、そして加藤翼や平川恒太といった気鋭の若手作家まで、国内外を問わず幅広い層の作家が参加。さらには、ヒワ・Kやヘルムット・スタラーツなど、日本初公開となる作家も名を連ねる。
戦争やテロ、難民問題や環境破壊など、危機的な問題が山積する現代に向けて、新たなヴィジョンの提示を試みる多くのアーティストたち。本展は、負を正に転ずる「美術のちから」に注目し、その可能性を問いかける。