あの《叫び》がいよいよ来日。ムンク大回顧展で紐解く「ムンクとは誰か?」
2018年10月27日より、ノルウェーを代表する画家、エドヴァルド・ムンクの代表作を一堂に公開する回顧展「ムンク展—共鳴する魂の叫び」が開催される。100パーセントムンク作品で構成される本展の見所とは?
《叫び》で広く知られるエドヴァルド・ムンク(1863〜1944)は、ノルウェーを代表する画家。これまで、日本では京都国立近代美術館(1970)、世田谷美術館(1997)、国立西洋美術館(2007〜08)など、数回にわたりその回顧展が開催されてきた。そんなムンクの人生を回顧する大規模展「ムンク展—鳴する魂の叫び」が。この秋、東京都美術館で開催される。
2013年頃から開催の準備を進められてきたという本展は、オスロ市立ムンク美術館が所蔵するムンク作品の油彩《自画像》(1882)、《絶望》(1893-94)、《星月夜》(1922-24)などを含む、約100点(油彩は60点以上)の作品を一堂に紹介するもの。
展覧会は「ムンクとは誰か?」「家族と死」「夏の夜ー孤独と憂鬱」「魂の叫びー不安と絶望」「接吻、吸血鬼、マドンナ」「男と女ー愛、嫉妬、別れ」「全身肖像画」「躍動する風景ー冬景色と太陽」「画家の晩年」の9章で構成予定。
なかでも本展のハイライトとなるのは、ムンクの代名詞的な存在《叫び》だろう。手で両耳を塞ぎ、口を大きく開けて道の真ん中に立ち尽くす人物と、フィヨルドの上に広がる色鮮やかな夕暮れ。この《叫び》はムンクが友人たちと夕暮れのオスロを歩くなか、フィヨルドを眺めたムンクが「自然を貫く叫び」を聞いたことを発端に描かれたもの。人間の不安や孤独を表した《叫び》は、版画を除くと世界には4点が現存しているが、そのうちの1点、本展に出品されるオスロ市立ムンク美術館所蔵のテンペラ・油彩画の《叫び》(1910?)は、今回が初来日となる。
しかし、この《叫び》だけが本展の見所ではない。本展は、ムンクの青年期から晩年までを通覧。幼くして肉親を失ったムンクが、第二次世界大戦のさなかに亡くなるまでどのような人生を歩んできたのかを、主題ごとに紹介。数々の自画像をはじめ、姉の死を題材にした《病める子Ⅰ》(1896)、叶わぬ恋を描いたとされる《夏の夜、人魚》(1893)、愛の曖昧さや複雑さを描いた《森の吸血鬼》(1916-18)など多彩な作品を展覧。これらを通して「ムンクとはいったいどのような人物だったのか」を紐解く内容となっている。
巡回なしの展覧会。この秋は上野に足を運びたい。