2016.10.14

日本最古のアートフェア
「東美特別展」開幕

1964年、東京オリンピックを記念して第1回が開催された、日本で最も歴史あるアートフェア「東美特別展」が10月14日から16日まで、東京美術倶楽部にて行われている。絵画や近代美術、古美術、茶道具、工芸など幅広いジャンルから65の画廊が集まるその見どころとは。

1階エントランスに特別展示されている片岡球子《めでたき富士》
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「 東美特別展」は3年に一度開催されるアートフェアとして、長らく古美術や日本画などの分野を中心に愛されてきた。20回目の節目となる今年は、会場1階のエントランスに庵野秀明監督の映画『シン・ゴジラ』(2016年)にも登場し、話題となった日本画家、片岡球子の《めでたき富士》を特別展示するなど、これまでにない試みを見せている。

tobi1.jpg祇園画廊の展示風景。白髪一雄の《黄墨》が白磁の壺とともに展示されている

 会場は全4階で構成。1階には現在、大きな注目を集めている刀剣を、業界大手の日本刀剣と杉江美術店が出品。鎌倉時代の太刀「長船長光」をはじめとする名刀の数々を、間近で楽しむことができる。

 また畳敷きの大広間を区切った2階では、桃山時代の茶碗「志野橋の絵茶碗」(赤坂水戸幸ブース)や室町時代中期の画僧、小栗宗丹が描いたとされる「伝小栗宗丹筆真山水」(池内美術ブース)などが設えとともに展示されている。このフロアには緑豊かな日本庭園もあり、都心とは思えない雰囲気を楽しむことができるだろう。

赤坂水戸幸ブースの展示風景
2階に広がる日本庭園

 3階では繭山龍泉堂が、中国・明の後半期、嘉靖および萬暦と呼ばれる時代の官窯の作品を一堂に展示。江戸期、あるいはそれ以前より珍重されてきた華やかな色絵磁器が並ぶ。

 このほか4階では、京都で私立美術館「何必館」を営む祇園画廊が、近年評価が高まっている「具体」の白髪一雄と、MAYAMAXXの2作家を展示。なかでも白髪が足で描いた《黄墨》をはじめとする4点には注目だ。また加島美術では「奇想の画家展」題した展示において、長沢蘆雪の《狗児図》や林十江の《虎独風直図》など多種多様な作品を見ることができる。

 美術館クラスの作品もガラスを挟むことなく見れ、時には実際に触れることもできる「東美特別展」。この機会に足を運んでみてはいかがだろうか。

加島美術ブースの展示風景。愛らしい長沢蘆雪の《狗児図》に癒されたい