「世紀末ウィーンのグラフィック」展が目黒区美術館に巡回。人々の生活を彩ったグラフィック作品約300点が集結
京都国立近代美術館で開催された「世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新にむけて」が、東京・目黒区美術館に巡回する。本展では、19世紀末のウィーンで生み出された幅広いグラフィック作品約300点のほか、石膏彫像や家具を展示。会期は4月13日〜6月9日。
京都国立近代美術館で開催された「世紀末ウィーンのグラフィック デザインそして生活の刷新にむけて」が、目黒区美術館に巡回する。
本展では2015年に京都国立近代美術館のコレクションに加わった、19世紀末ウィーンの優れたグラフィック作品を紹介。これらの作品群はアパレル会社・キャビンの創業者である平明暘が蒐集したもので、当時のウィーンで生み出された版画や挿絵本、装丁、壁画の原画など、さまざまな作品群を擁する。
当時のウィーンでグラフィックが花開くきっかけとなったのは、1897年に「時代にはその芸術を、芸術にはその自由を」というモットーを掲げ、芸術・デザインの刷新を求めた「ウィーン分離派」の結成。本展では、この中心人物であるグスタフ・クリムトや、その後継者であるエゴン・シーレとオスカー・ココシュカの素描作品を紹介する。
また、カラー印刷技術や写真製版技術の発展を背景に刊行され、人々を魅了した図案集の数々も見どころだ。本展では、それらを生み出すデザイナーを輩出したウィーン工芸学校・ウィーン工房にも注目するほか、オットー・ヴァーグナーやアドルフ・ロースら建築家たちの新たな取り組みを探る。
加えて、木版画、リトグラフなど多様な版画や、その素描も展示される。19世紀に写真が発明され、それまで担っていた資格情報の複製・記録の役割を失った版画。本展では、その後日本の多色木版画などを参照しながら、「芸術としての版画」が模索された過程を追う。
そのほかにも、人々の生活のなかで親しまれたポスターやカレンダー、書籍の装丁・挿画の魅力を紹介。また、これら300点あまりのグラフィック作品に加え、リヒャルト・ルクシュによる石膏彫像と、貴重なアドルフ・ロースによる家具一式も見ることができる。