青崎伸孝の個展がvoid+で開催中。コンセプチュアルな手法から生まれるコミュニケーションのかたちとは?
コンセプチュアルかつユニークな手法を通して、多様な価値観やアイデンティティの形成について思考してきた青崎伸孝。現在ニューヨークを拠点とする作家の、国内では3年ぶりとなる個展「あったかもしれない椅子、たぶんウォルトディズニー、ほぼアイスクリーム、いま表参道」が東京・南青山のvoid+で開催されている。会期は6月28日まで。
青崎伸孝は1977年生まれ、2005年に渡米。スクール・オブ・ビジュアル・アーツやハンター・カレッジで学んだ後、現在もニューヨークを拠点に活動を続けている。近年は、茨城県北芸術祭(2016)や六本木アートナイト(2019)で、アメリカの食料雑貨店などで広く使われる「スマイリーフェイス」のついた買い物袋に道行く人の似顔絵を描く《Smiley Bag Portrait》を行った。
そんな青崎の、日本では3年ぶりとなる個展「あったかもしれない椅子、たぶんウォルトディズニー、ほぼアイスクリーム、いま表参道」が東京・表参道のvoid+で開催されている。
店員の聞き誤りによる青崎の名前が書かれたスターバックスのカップを集めた《Names on Starbucks Cups》や、見ず知らずの人に道を尋ねて地図を書いてもらい、その集積によってマンハッタンの全体像を描き出す《From Here to There》などの作品で知られる青崎。コンセプチュアルな手法で、他者とのコミュニケーションによるアイデンティティの形成や、そこに宿る想像力や豊かさを表現してきた。
本展で青崎は、破り捨てられていたドローイングの失われた部分を描き足し、修復して全体を完成させた「Recovered Paintings」と、街で拾った買い物メモをもとに商品を買い揃え、メモの持ち主のポートレイトとして構成した「Groceries Portraits」の2シリーズから未発表作品を展示。また新作として、今回の東京滞在中に制作した《Lost in Translation》と、《Walking on Broadway》の表参道バージョンを発表している。