吉原治良、田中敦子、白髪一雄、元永定正らの作品が一堂に。兵庫県立美術館で具体美術協会に焦点を当てたコレクション展が開催
兵庫県立美術館のコレクションより、具体美術協会(具体)に所属していた作家の作品を取り上げる展覧会「開館50周年 今こそGUTAI 県美(ケンビ)の具体コレクション」が開催される。会期は12月5日〜2021年2月7日。
兵庫県立美術館で、同館のコレクションより、具体美術協会(具体)に所属していた作家の作品を取り上げる展覧会「開館50周年 今こそGUTAI 県美(ケンビ)の具体コレクション」展が開催される。会期は12月5日〜2021年2月7日。
具体は吉原治良を中心に1954年に結成。戦後の日本美術を語るうえで欠かせないグループとして、国際的にも高い評価を受けている。兵庫県立美術館は、前身となる兵庫県立近代美術館の開館以来、長年にわたり具体の作品をコレクションしており、この展覧会では同館の50年にわたる収集の歴史を視野に入れながら、ひとつのイメージに収れんしない多角的な「具体」像を考える。
展覧会は「Ⅰ.最初期の収集 郷土ゆかりの美術として」「Ⅱ.女性作家のめざましい活躍」「Ⅲ.現代美術―山村德太郎氏と近美の並走」「Ⅳ.多角的な理解に向けて 県美のGUTAIコレクション」の4部構成。
「Ⅰ.最初期の収集 郷土ゆかりの美術として」では、まだ具体が存続していた1970年当時の収集作品を振り返る。館の収集の柱である「版画」「彫刻」「郷土ゆかりの美術」の3つの柱のうち、具体の作品は「郷土ゆかりの美術と位置づけられていた。ここでは白髪一雄、元永定正、吉原治良らの作品を紹介する。
「Ⅱ.女性作家のめざましい活躍」では、行為性と物質性が際立った初期の「具体」の傾向に合致しない作風を持ちながらも、グループ内で重要な位置を占め、特徴的な作品をつくり出していた山崎つる子、田中敦子、白髪富士子らの作品を紹介。作家らが持っていた、新素材への鋭敏な感覚や、壮大な世界観などに焦点を当てる。
「Ⅲ.現代美術―山村德太郎氏と近美の並走」は、兵庫県西宮市の企業家にして美術コレクター、山村德太郎の具体コレクションを取り扱う。山村はヨーロッパからも買い戻しながら、1980年代に作品を収集。没後、近美に収蔵されることとなったそのコレクションと並走するように同時期に同館が収蔵した作品を展示する。
「Ⅳ.多角的な理解に向けて 県美のGUTAIコレクション」は、04年に開催された兵庫県立美術館の「具体回顧展」以降にコレクションされた、具体の後半期に加入した作家の作品を展示。その豊富な点数と幅広い作風から、グループの多角的な理解を試みる。
戦後の復興期に立ち上がり、大阪万博の時代まで旺盛な活動を続けた具体の活動を、兵庫県立美術館の節目にあらためて振り返りたい。