松山智一のパブリック・アートがニューヨークに登場
毎日多くの観光客が訪れるニューヨーク・マンハッタンのフラットアイアンビルディングの前で、松山智一がパブリック・アート《Dancer》を展示している。会期は11月14日まで。
ニューヨーク・マンハッタンのランドマークのひとつであるフラットアイアンビルディングの前で、同市を拠点に活動するアーティスト・松山智一のパブリック彫刻作品《Dancer》が公開されている。会期は11月14日まで。
同作は、今年2月から3月にかけてシカゴのKavi Gupta Galleryで行われた松山の個展「The Best Part About Us」で初めて発表されたもの。9月9日から9月11日までニューヨークのジャヴィッツ・センターで開催されたアートフェア「THE ARMORY SHOW 2022」の関連プログラムの一部としての屋外展示だ。
婉曲したきらめくスティールのボディは、周囲の環境や都会の喧騒を映し出している。松山は「美術手帖」のメールインタビューに対し、「ミラーリングされた歪んだ曲線の表面のなかで、私たちは自分自身を見て、もうひとつの世界を垣間見たかのように、鏡のどちら側が本物なのか疑問に思うかもしれません」と語る。また、多様化された文化交流をつねに意識して作品制作を行う松山の彫刻は、人々が周囲の文化を吸収する過程をも反映している。
マンハッタン5番街とブロードウェイが交差する場所にあるフラットアイアンビルは、V字型のユニークな構造で目を引き、毎日世界中の観光客が多く訪れている。ニューヨークのもっとも象徴的な建築のひとつで作品を発表したことについて、松山は次のようにコメントしている。
「20年間をニューヨークで過ごした自身にとって、このような規模のパブリック・アートを手がけることは長年の夢でした。ニューヨークは多種多様な文化が混在する街であり、世界のアートの中心地です。もっとも有名な建築のひとつであり、その薄さが特徴的なフラットアイアンビルディングを20年前に訪れたときの記憶は鮮明に残っています。現代的な高層ビルと歴史的建造物が混在し、ダウンタウンとアップタウンのまったく異なる空気がぶつかるニューヨークらしいエリアに文化混交を表現した作品を展示できたことは嬉しいですね」。