文化庁が平成30年度予算案を発表。文化財活用に8億円の新規予算
文化庁は16日、平成30年度の予算案の概要を公表した。予算額(案)は前年比3.3パーセント増の1077億2900万円を計上する。
文化庁が平成30年度の予算案の概要を明らかにした。総額としては前年度から3.3パーセント増の1077億2900万円を計上する。
内訳では、新規事業として「国際文化芸術発信拠点形成事業」(12億5000万円)、「地域の美術館・博物館クラスターの形成」(12億4800万円)、「文化財活用のためのセンター機能の整備」(8億円)などが計上されているが、これらは何を目的としているのだろうか?
文化庁が作成した参考資料によると、 国際文化芸術発信拠点形成事業は「2020東京大会とその後を見据え、日本全国で開催されている芸術祭や地方の行事をコアとした文化芸術事業を充実・発展させ、民間企業を大胆に巻き込みつつ他分野との有機的な連携を図ることで継続的に世界にアピールできる我が国を代表する国際文化芸術発信拠点を形成する取組を支援」するもの。影響力を持つ海外メディアの招聘をはじめとした国際発信力の強化や、国際的な集客力のあるアーティストの招聘、コアとなる総合プロデューサー人材の育成などが具体的な取り組みとして挙げられており、予算案公開と同じくして「平成30年度国際文化芸術発信拠点形成事業の募集」も開始されている。補助対象は地方公共団体、民間企業を含む実行委員会等で、国内8拠点を目安に支援を行うという。
また「地域の美術館・博物館クラスターの形成」では、「美術館・歴史博物館を中核とした文化クラスター創出に向けた地域文化資源の面的・一体的整備、新たな事業創出、地域へのアウトリーチ活動、人材育成等、美術館・歴史博物館を活用・強化する取組を支援することによって、文化芸術立国の実現を目指す」としており、美術館・博物館と観光施設や教育施設のネットワーク整備を促進する。
昨今、政府が声高に謳う文化財の「活用」については、「文化財活用のためのセンター機能の整備」がその主たる役割を果たすものと考えられる。同事業では文化財の利用について「地方や海外、民間企業等からのニーズに機動的に対応することが必要」という考えのもと、文化財活用のためのセンター機能を強化。外部人材活用も含めた「専門職チーム」(キュレーター、ファンドレイザー、レジストラー、コンサベター、広報等)設置し、地方・海外への多様なニーズに対応するため企画・マネジメント機能を強化するほか、国宝・重要文化財などの収蔵品のデジタルアーカイブ化を促進。また、文化財の高精細レプリカやVRを全国で公開・活用し、駅や空港などの施設や地方博物館などへ販売・貸与し、「ビジネスモデル」を確立するとしている。なお、この予算は国立文化財機構運営交付金として計上される。