世界の恒久平和を希求する。第11回ヒロシマ賞はアルフレッド・ジャーが受賞
人類の平和に貢献したアーティストの業績を顕彰し、世界の恒久平和を希求する「ヒロシマの心」を、現代美術を通して広く世界へとアピールすることを目的とした「ヒロシマ賞」。1989年に創設された本賞の第11回の受賞者が、アルフレッド・ジャーに決定した。
世界の恒久平和を願って、広島市が1989年に創設した「ヒロシマ賞」。3年に1度、美術の分野で人類の平和に貢献したアーティストの業績を顕彰するこの賞は、これまでに三宅一生、ロバート・ラウシェンバーグ、ダニエル・リベスキンド、蔡國強、オノ・ヨーコら10(組)が受賞。そして今回、第11回目の受賞者としてアルフレッド・ジャーが決定した。
ジャーは1956年チリ出身。世界各地で起きた歴史的な事件や悲劇、社会的な不均衡に対して、綿密なリサーチと取材に基づくジャーナリスティックな視点を持って対峙。パブリック・スペースでの作品発表や、写真、映像、建築的な空間造形を伴い五感に訴えかけるようなインスタレーションを通して、社会的、政治的、人道的な問題を人々に伝えてきた。また現在は、ニューヨークを活動拠点としている。
これまでにシカゴ現代美術館、ローマ現代美術館、キアズマ現代美術館などで個展を開催。またサンパウロ・ビエンナーレ、ヴェネチア・ビエンナーレ、あいちトリエンナーレなど、数々の国際美術展に参加してきた。
広島市は受賞理由に対して、ジャーが作品を通して「ヒロシマ」に深く関わってきたことや、近年は東日本大震災や福島の原発事故などにも強い関心を持つこと、今日的課題として「ヒロシマ」をとらえた、メッセージ性の強い展覧会が期待されることなどを挙げている。
またジャーは受賞にあたって、「第11回ヒロシマ賞を授与していただくことになりとても光栄に思います。大変名誉なことだと感じると同時に、受賞者としての責任を重く受け止めています。この暗い時代においては、『ヒロシマの心』が今まで以上に必要とされています。栗原貞子がその崇高な詩『生ましめんかな』の中で示唆したように、私は『生ましめる』努力をしなければならず、また実際努力していくつもりです」とのコメントを寄せている。