京都市美術館が2019年度中にリニューアル・オープンへ。現代美術のための新館も設置
1933年に開館し、京都の観光名所としても広く知られる京都市美術館。開館から80年以上が経過した現在、2019年度中のリニューアル・オープンのための改修工事が進められている。この改修で変わるポイントとは?
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和洋折衷の建築様式「帝冠様式」で知られる京都市美術館が、1933年の開館から80年以上を経て、大きく変わろうとしている。
現在、同館では2019年度中のリニューアル・オープンを目指して改修工事が進行中。基本設計は青木淳・西澤徹夫設計共同体が担当している。この改修では主に、①建物や設備など施設全体の老朽化への対応、②多様化する美術の展示への対応、③展示スペースの拡大、④ショップやカフェなど施設の充実、などがその目的として挙げられる。
では具体的に何が変わるのか? まず大きく変わるのが美術館の名前(愛称)だ。京都市では、市民の税負担を抑え、必要な財源確保のためにネーミングライツ制度を導入。京セラ株式会社と2017年2月に「京都市美術館ネーミングライツに関する契約書」を締結し、愛称は「京都市京セラ美術館」となる。この愛称は2019年春以降、観光案内標識・道路標識や各種マップ・パンフレット等において使用される。
では建物部分を見ていこう。京都国立近代美術館に面しているメインエントランスでは、現在の重厚な外観を維持しながら、新たなエントランスを正面地下に新設。スロープ状の広場から緩やかに入館するアプローチが誕生する。
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展示スペースも大きく変わる。本館内には、これまで存在しなかった常設展示室を新設し、国内有数の所蔵数を誇る近代日本画をはじめとする同館のコレクションをアピールしていく。また現代美術のみならず、デザインやマンガ、アニメ、ファッションなど多様な分野の展示にも対応できる新館「東山キューブ」を本館に隣接するかたちで設置。撮影可能な展覧会を増やし、より多くの人々が来館するきっかけをつくるという。
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このほか、多くの人々がゆったりと滞在できるような工夫も見られる。京都市美術館の特徴でもあった1階と2階を貫く吹き抜けの旧大陳列室は、誰でも行き来できる「中央ホール」へと改修。大型作品の展示スペースとしても利用可能となる。また中庭はガラスの屋根を設置して屋内空間化し、「光の広間」として生まれ変わる。これらのスペースは、美術館主催のものに加え、外部のレセプションパーティーやイベント、国際会議などにも使用可能だという。
加えて、メインエントランス近くにはカフェやミュージアムショップが新設されるなど、これまでにないアメニティ施設の充実化も図られる。
なお、京都市美術館ではリニューアルに向けて「美術品収集方針」を策定。①既存のコレクションを継承して、明治期から昭和戦前における日本画・工芸を中心としながら、近代の美術の源流となる江戸期の美術に遡って収集すること、②現代の美術において新たな展開を見せる作家にも注目して収集すること、③近代・現代の美術に関連する国内外の作家にも視野を広げて収集すること、などを新たな柱とし、京都における近代以降の美術を展望できる総合的なコレクションを形成していくという。