文化庁、あいトリへの補助金全額不交付を決定。文化庁前ではデモも
文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」に対して交付予定だった補助金約7800万円について、不交付決定となったことが荻生田文部科学大臣によって明らかにされた。
日本の文化行政に対する信頼が著しく損なわれようとしている。文化庁は、「あいちトリエンナーレ2019」に対して交付予定だった補助金約7800万円を、全額不交付とする決定を下した。
萩生田光一文部科学大臣は取材に対して、「審査の結果、交付しないことを決定した。審査の大きな視点である実現可能な内容かどうか、継続性があるかどうかの2点に疑念を持ち慎重な審査をしてきた」としたうえで、「文化庁に申請のあった内容通りの展示会が実現できていない。継続できていない部分もある。補助金適正化法等を根拠に交付を見送った」と発言。また共同通信によると、河村たかし名古屋市長も「至極まっとうな判断だ」と述べ、共同歩調を取る考えを示したという。なお、自身が作家でもある宮田亮平文化庁長官のコメントは出ていない。
あいちトリエンナーレについては、25日に開催された「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」第3回会合において、「表現の不自由展・その後」の展示再開が示されたばかりであり、このタイミングでの補助金不交付決定は強い衝撃を与るものだ。美術界からは文化庁に対して数多くの反対の声が上がっており、東京・霞が関の文化庁前では補助金不交付決定に反対するデモが行われた。
また大村秀章愛知県知事は、決定の取り消しを求めて国を訴える考えを表明している。
なお文化庁は、2018年度より「アートプラットフォーム事業」として、日本の現代美術の国際発信と市場の基盤形成を目指しており、補助金不交付決定はこの事業の出鼻をくじくものとなりそうだ。