東博など国立3博物館、入館料を値上げへ。「ランニング・コストも賄えない」
東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館の3館は、今年4月1日より常設展(平常展・名品展)の料金を値上げすると発表した。
日本を代表する博物館である東京国立博物館(以下、東博)、京都国立博物館、奈良国立博物館の3館が、4月1日より常設展(平常展)の料金を値上げすることを発表した。
東博は一般620円を1000円に、大学生410円を500円に値上げ。値上げ幅は最大380円となる。また京都国立博物館と奈良国立博物館は、現行の一般520円を700円に、大学生260円を350円に改定。これまで存在していた団体料金は、3館すべてで一般・大学生ともに廃止される。
気になるのはその理由だ。東博は、総合文化展(常設展)の来館者数が急増しているいっぽう、現在の観覧料では来館者一人当たりの直接的なランニング・コストも賄えていないという。「今回の改定は、東博がこの重大な使命を将来にわたって持続的人果たすことができるよう、国による支援に加えて、来館者の皆様にも一層のご支援をお願いするものです」としており、値上げによって文化財の修復や展示室リニューアルを含む鑑賞環境の整備など、これまで実現できなかった事業を推進したい考えだ。
また京都国立博物館も「近年の人件費や物価の上昇もあり、光熱水費、館内案内、環境整備、設備維持などの来館者の皆様に直接関わるランニング・コストが、文化財の収集保管、保存環境維持など博物館の本来業務である経費を圧迫しております」とており、国立博物館を取り巻く厳しい状況を訴える。
入館料をめぐっては、2017年に東京国立近代美術館など5つの国立美術館を運営する独立行政法人国立美術館が所蔵作品展(常設展)の観覧料を値上げしている。
なお、博物館法第23条(入館料等)では、次のように定められている。「公立博物館は、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる」。