2020.5.5

緊急事態宣言延長で美術館・博物館の今後はどうなる? 再開で求められる「ガイドライン」

全国を対象に、5月31日までの延長が決定した緊急事態宣言。これに伴い、美術館・博物館などの文化施設は今後どのような対応をしていくのだろうか?

休館中の東京国立近代美術館

 全国を対象に、5月31日までの延長が決定した緊急事態宣言。これに伴い、美術館・博物館はどうなるのだろうか? 政府は、5月4日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を更新。この改正基本的対処方針の「まん延防止」の項のなかに、以下のような記載がある。

施設の使用制限の要請等を検討するにあたっては、これまでの対策に係る施設の種別ごとの効果やリスクの態様、対策が長く続くことによる社会経済や住民の生活・健康等への影響について留意し、地域におけるまん延状況等に応じて、各都道府県知事が適切に判断するものとする。例えば、博物館、美術館、図書館などについては、住民の健康的な生活を維持するため、感染リスクも踏まえた上で、人が密集しないことなど感染防止策を講じることを前提に開放することなどが考えられる。

 ここで重要となるのは、「感染リスクも踏まえた上で、人が密集しないことなど感染防止策を講じることを前提に」という箇所だ。

 改正基本的対処方針では、依然として特定警戒都道府県と特定警戒都道府県以外の特定都道府県では、クラスターが発生するおそれがあるイベントや「3密」のある集まりについては、開催自粛を要請。全国的かつ大規模な催物等の開催については、リスクへの対応が整わない場合は中止又は延期するよう、「主催者に慎重な対応を求める」とされている。 

 いっぽう、クラスターの発生が見られない施設については、「入場者の制限や誘導」「手洗いの徹底や手指の消毒設備の設置」「マスクの着用」等の要請を行うことを含め、「3密」を徹底的に避けること、室内の換気や人と人との距離を適切にとることなど、基本的な感染対策の徹底等が施設管理者に対して呼びかけられている。

 こうした前提を踏まえ、今後美術館・博物館については独立行政法人や関係団体レベルでガイドラインを作成することが求められており、とくに特定警戒都道府県での再開は、ガイドラインが整ってからになるものと考えられる。こうしたガイドライン作成において、文化庁が必要な情報提供や助言を実施していく予定だといい、各団体が円滑なガイドライン作成を行えるかが、再開のカギとなるだろう。

 なお、国際美術館会議(CIMAM)ではすでパンデミックにおいて美術館を運営する場合の注意事項を作成・公開している。