2020.7.31

性、人種、宗教に縛られず。メディア・アーティスト、ルー・ヤンによるバーチャルキャラクター「DOKU」が誕生

中国・上海を拠点に活動するメディア・アーティスト、ルー・ヤンが、新たな作品形態であるバーチャルキャラクター「DOKU(ドク)」を発表。性や人種、宗教などの属性に縛られないこのキャラクターは今後、アーティストやミュージシャンなど様々な分野のプロフェッショナルと共同制作を行い、新しいクリエイションのあり方を探究する。

DOKU

 中国・上海を拠点に活動する気鋭のメディア・アーティスト、ルー・ヤン。その新たな作品形態として、バーチャルキャラクター「DOKU(ドク)」が誕生した。

 DOKUとは、釈迦の教説である「独生独死独去独来」に由来し、現実世界や仮想空間など、いずれの次元においても命は孤独であることを意味するもの。ルー・ヤン本人の顔を3Dスキャンで読み取り表情を再現しながら、バーチャルによって自身の理想像を顕現させた肉体を持つこのキャラクターは、人間固有の欲求、性や人種、宗教などの属性に縛られず、時間と空間に制限されることなくネット上に浮遊する。

 今年7月、DOKUはイギリスのロックバンド「The 1975」らが企画したオンラインエキシビション「NOACF:The Exhibition」でデビュー。14人のアーティストがThe 1975の新しいアルバムに収録された各楽曲にあわせた映像作品を発表する同展で、ルー・ヤンは『Playing On My Mind』のMVを担当し、DOKUを起用している。

 ルー・ヤンは、DOKUを自分の「デジタル転生」と呼ぶ。彼女の面影を映し出しながら同時に他者も投影するDOKUには、一体で万物を表現するという仏教の概念「alaya-vijnana」(日本語では阿頼耶識[あらやしき]と訳される)も含まれている。

 今後、DOKUはルー・ヤンとともに、アーティストやミュージシャン、ダンサー、詩人、科学者、哲学者など異なる分野のプロフェッショナルと共同制作を行い、現代美術の枠組を越えた新しいクリエイションのあり方を探究する予定だ。なおマネジメントは、東京・青山のスパイラルが行っていく。